教員コラム<山敷庸亮教授>
山敷庸亮教授(13)
総合生存学館のカリキュラムの中で、何が一番ユニークで面白いか?というと、やはり、「武者修行」と呼ばれる海外インターンシップではないでしょうか?このユニークな海外派遣について、私は設立当時からさまざまな国連機関や海外研究機関との協定締結、そして学生派遣に携わってまいりましたので、今回の教員コラムで私が関わった案件と学生について解説させていただきます。
まずは、国連食糧農業機関(FAO)へ初の派遣となった白石晃將氏(1)(2)(3)です。白石氏は大学院修了後、外務省での勤務を経て、インターンシップ先で勤務した経験を活かしFAOにJunior Professional Officerとして採用されました。現在は京都大学大学院農学研究科にて助教として働いています。当初からそもそもFAOとMOUも締結しておらず、もっといえばFAO本部に誰も知り合いがいない中から、学生派遣、そしてMOU締結まで漕ぎ着けましたが、やはり研修にいった本人が、最終的にそこの国連機関で勤務することができるようになったことが一番嬉しいです。また二人目としてFAOに派遣した野村亜矢香さん(4)(5)(6)は合計1年ほど現地滞在され、現在FAOでの経験を活かしてセブン&アイ・ホールディングスで活躍されています。
そして、UNESCO本部とその関係機関にも私が担当しただけですでに3名派遣させていただいております(学館全体では8名)。その中で谷本明子さんは現在ニューヨークの国連本部でJPOとして働いておりますし、最近帰国したSadaf Ismailさんは先方の要請により、1ヶ月間UNESCOのコンサルタントとしてオンラインで仕事を手伝っています。また、UNESCO Category IIセンターのポーランドエコハイドロジーセンターに派遣した孫燁さんもJX金属で活躍され、派遣先のエコハイドロロジーセンターは京大のUNESCOチェアWENDIと協力関係にあります。また私の紹介でUNDPでインターンを行った二人の学生はいずれも卒業し博士学位を修得され、民間のコンサルタントとして働いております(藤田萌さん(デロイトトーマツ)チャーリー・ボリコさん(八千代エンジニアリング))。また、大学機関としてスタンフォード大学やカリフォルニア大学で研修を行った藤村奈々緒さんも学位を修得され民間企業(パタゴニア・インターナショナル・インク 日本支社)で働いておられます(7)。
さて、コロナ禍を経て、円安の影響もあり、海外でのインターンが経済的に非常に厳しくなりました。特に欧米諸国は現地での滞在費が月額50万円を超えるケースも多数みられ、2019年までとは全く異なる状況になってまいりました。当方も国内でのインターンを認めたり、オンライン併用も考えたりと、さまざまな手をうってまいりました。そのような中でマサチューセッツ工科大学で研修を行った嘉澤剛さんは研修に関わる費用をさまざまな形で集め無事研修を終えました。また、ケンブリッジ大学生存リスク研究センター(CSER)とは2018年に協定が締結され、最初に派遣された関大吉さん(8)(9)はコロナ禍の前に合計1年間現地滞在し、現在九州大学で勤務されていますが、二人目の冨田キアナさん(10)はオンラインと併用という形での研修となりましたが、両校の協定延長に尽力されました(11)。そして現在、アメリカ航空宇宙局ゴダード宇宙飛行センター(NASA/GSFC)でインターンを実施されている藤井咲花さんも受け入れ教員Vladimir Airapetian教授の厳しい計算の要求に対してきっちりと結果を出しております。
これら海外での経験について、将来国際機関で働きたいと希望する学生さんらは特に国連機関でインターンを行うということは絶対的に重要なステップになりますし、これを経て実際に国連職員として就職した例も3例となっておりますが、企業への就職を担当した立場として、特に海外での事務経験は、就職の面でも非常に高く評価され、かつ仕事を始めてからも、ほぼ確実に海外に関わる案件に携わっておられます。また同時に、海外大学や研究機関に滞在することを通じて、海外への留学に準じた経験も得ることができます。
今年も秋から私の担当だけでもUNESCO本部やカリフォルニア大学(12)、そしてアリゾナ大学への新たな派遣が計画されており、先方機関との調整を行っておりますが、このような大学院総合生存学館の「魅力」である海外武者修行を今後も全力でサポートしてゆきたいと思います。
(1)留学ジャーナルのページ
https://www.ryugaku.co.jp/spot/intlwork/vol_19/
(2)外務省のページ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/es/page23_002712.html
(3)総合生存学館のページ
/blog/2018/03/01/20180301-2
(4)総合生存学館のページ
/blog/2020/10/08/20201023
(5)大学ジャーナルのページ(04〜05)
https://univ-journal.jp/wp-content/uploads/2023/07/DJ153web.pdf
(6)総合生存学館のページ
/wp-content/uploads/2022/10/20221024_2.pdf
(7)Wantedlyのページ
https://www.wantedly.com/id/patagonia_nanao
(8)京都大学のページ
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news/2018-02-02-2
(9)TOEFL® Web Magazineのページ
https://ej-webmagazine.com/interview-experience2103/
(10)京都大学のページ
https://www.thats.pr.kyoto-u.ac.jp/2023/10/25/13960/
(11)京都大学のページ
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news/2023-02-08
(12)総合生存学館のページ
/blog/2023/07/07/20230331
(13)総合生存学館のページ
/blog/2019/06/06/20190606