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挨拶

最終更新日 2018.11.21

学館長メッセージ

平成29年4月より学館長に就任致しました寶 馨(たから かおる) です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
平成25年度(2013年4月)に京都大学で18番目の大学院として新設された京都大学大学院総合生存学館は、5年一貫制大学院です。2018年3月に5人の学生が京都大学博士(総合学術)の学位を授与されました。
それらの学生は、京都大学や神戸大学のポスドク、起業家、国際機関でコンサルタントなどとして就職して活躍を始めています。
また、2018年4月には新たに19人(うち外国人8人)の学生が入学しました。現在、学生数は5年生まで総勢62人です。それらの学生が専攻する学問分野は多種多様です。総合生存学館(思修館)の15人の教員と、学生の専門性に応じて研究指導を委託する学内の優れた教授陣の指導のもとに先端的学術を深く追究し学位研究を実施すします。各界のトップリーダーとの熟議、多様な学問分野を網羅する「八思」分野の科目群による学び、学外でのサービスラーニングや武者修行、そして、異分野の多数の学生諸君と教室であるいは研修施設(学寮)で交流する日々は、学生の皆さんにとって大変刺激的であり、また、広い視野を与えてくれることでしょう。世界に羽ばたきリーダーとして活躍する人材をどんどん輩出していきたいと存じています。
 
さて、総合生存学館は、平成23年度に採択された文部科学省博士課程教育リーディングプログラム(オールラウンド型)「京都大学大学院思修館」の実施組織として設立された大学院であります。従いまして、学内外で「思修館」という通称で親しまれています。総合生存学館の概要や、思修館という言葉の意味・意義については本ホームページをご参照ください。


山極壽一総長×寶馨学館長 対談

2013年の設立から6年、総合生存学館(思修館)に期待すること。

寶馨学館長(以下、学館長):
平成23年度に採択された博士課程教育リーディングプログラム「京都大学大学院思修館」も7年間のプロジェクト期間を2018年3月で終え、その3年目にこのプログラムを実施する研究科として新たに設置されました京都大学大学院総合生存学館(思修館)は6年目に入りました。総長として見ておられて率直な感想をお願いいたします。
山極壽一総長(以下、総長):
最初、総合生存学館ができたとき、文部科学省博士課程教育リーディングプログラムの趣旨に従って、世界で、あるいは社会で活躍できるリーダーを育てよう、研究者ではなくて、実学の中でいかに学問の力を発揮できる人材を育てるかということを目指していました。そういう意味で、実社会で活躍されている方々を講師でお招きして、学生がカレッジ形式で泊まり込んで、メンターが一緒になって熟議をやって、早いうちに実社会での活躍できる能力を高めるために海外武者修行やるという、従来の修士、博士課程とは非常に違ったカリキュラムを組んだわけですよね。実際やってみると優秀な学生が入ってきて、また、博士の学位を今年の3月に5人に授与して、やっと軌道に乗り始めたのかなという気がします。
今後は、このリーディング大学院構想や総合生存学館の強みである実学というものを教養、基礎として学べるようなシステムを大学院だけで完結するのではなく、京都大学のほかの部局の学生たちにも広げ、更には産業界や社会に開かれた大学になってほしいと思っています。
学館長:
総合生存学館の八思科目も大学の共通科目として登録をしておりまして、ようやくその内容や魅力が学内に発信できてきているのかなと思っています。それから社会との関係で言いますと、産学連携ということで思修館を窓口として、企業の人たちがもっともっと来やすくなるようにして、大学の知を企業に還元するというところも、十分やりきれておりませんので、その辺は今後の課題として、ぜひ進めていきたいなと思っています。

総合生存学というコンセプトについて。

学館長:
今、様々な社会的なリスクがありますよね。災害もそのうちの一つですけど、もっと別の経済的なリスクもあれば、健康的なリスクもありますし、生態系を破壊するようなリスクもあります。そのようないろんなリスクを、生存学という以上は、問題として捉え解決していくようなかたちでの人材育成なり教育なり、総合生存学という枠組で考えていきたいと思うのです。従来、各リスクはそれぞれの国の中で何とか対処してきました。ところが今はグローバルリスクといわれるように国境を越えて、お互いに共通したリスクもたくさんあります。ですから海外へ行って、そういったリスクを学んできたり、どうやって解決するかということを知ってきたりしたときに、それを日本でも使えるし、逆に、日本のリスクの対処の仕方が海外でも役に立つかもしれません。総合生存学の方向性の一つとしてこうした考え方があるのではと思っています。
総長:
はい、恐らくいろんな学問、経済学にしても、政治学にしても、生物学にしても、そういった学問の中でヒューマンサバイバビリティというものを、いかに実践的に考えていくか。そういうエッセンスをここで集約して幅の広い教養と、その応用を目指す人間学を統一的に推進していくというかたちを取れば総合生存学がより認知されやすいと思います。

自ら海外の人たちを引きつける素養を身につける。

総長:
ユネスコや国連のような国際機関や海外NGOにしても、政府機関にしても、英語でロビーワークができる、あるいは交渉ができる人材は、日本でものすごく不足しています。英語はできるけど、本当に学問的な基礎のうえで渡り合える人は極めて少ない。
海外インターンシップを通して思修館では、国連機関の職員や関係者達、あるいはJICAで派遣された専門家の中に混じっていろんな実務を経験したっていう人たちもたくさんいるわけだけど、そういう人材が今、日本にはますます必要なんですよ。国際競争力を強化するっていうけれども、学問的な国際協力だけではなくて、いかに政策面や、企画立案面で日本人がその中に入ってできるかという、そういうことをやはり大学という知の拠点は、作り出さなくてはいけないと思うのです。だからそういうことをまず思修館を含め大学全体として第1期、第2期で目指したっていうのは、非常に私はすばらしいことだと思いますし、実際そういう人たちが育ってきました。今後はそれをどういう連携でつなげていけるかということが課題で、日本の外交政策へどんどん関与できるような人材を育成するために、思修館自身がいろいろな省庁や海外の国際機関と連携して人材交換を活発にしていってほしいと思います。
学館長:
思修館では八思の一環として茶道、華道、書道なども授業に取り入れています。学生はそれを自分のものとして、作法も身につけ、それをまた外国人にも説明できるというような能力があれば、グローバルなフィールドや場面での様々なロビー活動でも、芸術面で相手と渡り合える素養として役に立つと思うんですね。
総長:
学館長のおっしゃるとおり、思修館の学生はそういう日本の文化、文芸をこの京都で自分のものとして、歴史を理解し作法も身につけ、学問的な、専門的な知識のみではなく、自ら海外の人たちを引きつけるという能力を持って、海外に出ていけるということは強みだと思います。

学位を取って、世界に出て活躍するという気概を持って。

学館長:
最後に学生へメッセージをお願いします。
総長:
総合生存学館というのは、京都大学が作った非常に新しい窓口だと思うのです。チャレンジングな場なのです。その精神を学生は十分に受け止めて、チャレンジングなことをやらないといけないと思うのです。
この思修館というのは5年一貫教育で、もちろん研究畑に残ることも可能だけども、社会に出て新しい博士の学位を能力を見せるんだ、という気概を持ってあたってほしいと思います。学位を取ったことが研究者になる道ではなくて、社会に出て、世界に出て活躍するんだ、大学の知を社会に還元するんだっていう気概を持たなくちゃいけない。そういう意味では、この総合生存学館は、そういうマインドを作る、世界にそのマインドを発信し実践する最初の場所だと僕は思うんですね。ぜひ、学生にはその気概を持ってやってほしいと思います。
学館長:
ありがとうございます。リーディング大学院は専門性に加えて、人間的魅力と社会的俯瞰力をもつ人材の育成ということで始まったわけですけども、単に学位を取ったというだけじゃなくて、人間味あふれる、人間性豊かなドクターを輩出していきたいのです。学生諸君には、思修館のカリキュラムの中でそういう幅広い知識を持って社会的俯瞰力があるようなドクターを目指して欲しいと思います。われわれ教員も一層努力して参りたいと存じます。
本日は、お忙しいところ、大変有り難うございました。