京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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10月9日(日)日本学術会議講堂にて、市民公開シンポジウム「世界の食料の今そして未来」を開催いたしました。

▲主催・後援団体、後援者 集合写真

        ▼FAO駐日連絡事務所 所長挨拶 Mbuli Charles Boliko(国際連合食糧農業機関/駐日連絡事務所長)

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基調講演 武内真佐美(国際連合食糧農業機関/農業・消費者保護局食品安全専門官)▲        

        ▼パネルディスカッションの様子

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パネルディスカッションの様子▲        

2016年10月9日、日本学術会議講堂にて「日本学術会議市民公開シンポジウム 世界の食料の今そして未来 ―食料の生産性と質の向上に日本の植物バイオテクノロジーはどう貢献できるか―」が開催いたしました。
当日の会議レポートはこちらよりご覧ください。[日本語icon_pdf] (Click here to see the meeting report.[Englishicon_pdf]
 
シンポジウムは、日本学術会議農学委員会・食料科学委員会合同遺伝子組換え作物分科会と京都大学が主催し、また、バイテク情報普及会が後援団体として参画しました。
 
大杉立(日本学術会議農学委員会/幹事)の開会挨拶では、シンポジウムの背景・目的が説明され、また、日本学術会議が、我が国の人文・社会科学、自然科学全分野の科学者の意見をまとめ、国内外に対して発信する日本の代表機関である旨紹介されました。続いて、Mbuli Charles Boliko(国際連合食糧農業機関/駐日連絡事務所長)は、2030年をゴールとするSustainable Development Goals(SDGs、持続可能か開発目標)の目標達成のためFAOは飢餓と栄養不良の根絶が可能であると信じ、それに対し全力で取組むと話しました。
 
武内真佐美(国際連合食糧農業機関/農業・消費者保護局食品安全専門官)は基調講演の中で、食の安全は食料安全保障の柱の一つであり、遺伝子組換え食品を含めたすべての食品の安全は評価される必要があると説明しました。また、安全評価の結果を国際的に情報共有することは、間接的に食糧危機を防ぐ手段となるため、非常に重要であると訴えました。今井康史(バイテク情報普及会/事務局長)、髙島賢(農林水産省/消費・安全局農産安全管理課審査官)はそれぞれ、産業界、官界の立場で遺伝子組換え作物の現状と取組を述べました。遺伝子組換え作物の栽培面積は年々増加しており、現在、約1億8千万ヘクタールとなってます。しかしながら、我が国日本では、遺伝子組換え作物を不安に感じる市民も依然として多く、十分なコミュニケーションと社会理解の向上が課題だとしました。佐藤文彦(日本学術会議/農学委員会・食料科学委員会合同遺伝子組換え作物分科会委員長)は、日本の植物科学は世界でも最先端にあるが、その一方で、研究成果が実用まで至るのは限られた品種のみです。日本の技術を世界展開するためにも、まずは、組換え圃場実験がより容易に実施可能となることが望まれるとしました。小島正美(毎日新聞/生活報道部編集委員)はマスメディアの立場から、遺伝子組換え作物に対する社会的理解があまり向上していないことを指摘しました。この現状に終止符を打つためには、共通の意思を持った個人・団体が協力して、社会受容向上のための具体的な行動目標を設定、それに向けた努力をする必要があると説きました。
 
パネルディスカッションは、白石晃將(京都大学大学院/農学研究科博士課程・思修館プログラム履修生)によりキックオフとなりました。FAOでのインターンシップ期に担当した仕事から、日本の課題は、遺伝子組換え作物・技術関連情報の国際化とその発信だと述べました。「日本の植物バイオテクノロジーの世界貢献」「遺伝子組換え作物に対する日本国の課題と社会的理解」を題材とした議論から、日本の遺伝子組換え作物の安全性評価はシステムが優れています。開発者はその実績を基にして、消費者のもとに、より届きやすく・使って良かったと思われるような持続可能な作物を作る、できるだけ地球上で人類が発展できるような状況を作っていくことができれば良いと思います。また、佐藤文彦ファシリテーターは、パネルディスカッションの末尾に、今回のシンポジウムの中で議論されたことを持ち帰り、日本学術会議として、どのように科学技術を発展させていくのか、それを国民にどのように共有していくのかに関して議論を進めたい、と述べました。
 
川井秀一(京都大学/総合生存学館学館長)は、閉会挨拶として、シンポジウム全体の議論のまとめとともに、大学としては、世界の持続可能な発展のため、今後バイオテクノロジーに対関する研究開発を積極的に行っていきたい。これには市民の大きなサポートが必要であり、そのために、開発技術にする理解力の向上と適切なコミュニケーションを行っていきたい、と述べました。
 
当日のプログラムは以下の通りです。

13:00-13:10 ハウスキーピングアナウンス
白石晃將(京都大学大学院/農学研究科博士課程・思修館プログラム履修生)
13:10-13:25 開会挨拶
大杉立(日本学術会議/農学委員会幹事)
13:25-13:35 FAO駐日連絡事務所 所長挨拶
Mbuli Charles Boliko(国際連合食糧農業機関/駐日連絡事務所長)
13:35-14:05 基調講演
食料安全保障のためのバイオテクノロジー:2050年、我々の食糧は十分でかつ安全か?
武内真佐美(国際連合食糧農業機関/農業・消費者保護局食品安全専門官)
14:05-14:25 産業界の取り組みと課題
今井康史(バイテク情報普及会/事務局長)
14:25-14:45 国の遺伝子組換え作物の安全性確保の取組等
髙島賢(農林水産省/消費・安全局農産安全管理課審査官)
14:45-15:05 学術界の取り組みと課題
佐藤文彦(日本学術会議/農学委員会・食料科学委員会合同遺伝子組換え作物分科会委員長)
15:05-15:25 消費者の遺伝子組換え食品への感覚と意思決定
小島正美(毎日新聞/生活報道部編集委員)
15:25-15:50 質疑応答
15:50-16:10 休憩
16:10-17:10 パネルディスカッション
●遺伝子組換え作物に対する日本国の課題と社会的理解
●日本の植物バイオテクノロジーの世界貢献
 ファシリテーター:佐藤
 パネリスト:今井、髙島、小島、武内
 ユースコメンテーター:白石
17:10-17:20 閉会挨拶
川井秀一(京都大学/総合生存学館学館長)

 

問い合せ: 
京都大学大学院 白石晃將(農学研究科博士過程/思修館プログラム履修生)
メール shiraishi.kosuke.57x*st.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
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