京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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教員コラム<マルク=アンリ・デロッシュ 准教授>



マルク=アンリ・デロッシュ 准教授、博士(学術)
橘会館にて

 

2017年6月ミニ・ワークショップ
 

2019年7月ミニ・ワークショップ

こんにちは。マルク=アンリ・デロッシュです。2015年4月に京都大学総合生存学館(思修館)の准教授に就任しました。専門は哲学、宗教学、仏教学、チベット・ヒマラヤ学です。出身はフランスですが、2008年から京都に在住しています。 思修館では、マインドフルリビング研究会を行っています。21世紀における「良き生」を求めて「マインドフルリビング」に焦点を当てた大学院・ポスドクセミナーです。
 
もともと仏教の概念である「マインドフルネス」は重要なライフスキルとして、東洋と西洋、人文学と認知科学、哲学と医学の交点にある基礎的な概念として注目されています。 マインドフルネスを「三慧」 (聞慧・思慧・修慧)の観点から捉えることで、古典やその言語に基づいた体系的な仏教哲学のプログラムを学生に提供し、 さらに他の主要な分野(心理学、教育、情報学など)と関連させることで、「生活世界」に適用できる可能性がある、学際的な研究を促しています。 研究会では大学院生・ポスドクの研究を募集しており、定期的に開催される研究ミーティング・読書会・マインドフルネスプログラムの演習・学際的なワークショップ・文化実習等を通して、研究会内で学術論文や社会的実践のコラボレーションをしています。
 
マインドフルネス (パーリ語 sati; サンスクリット語 smṛti; チベット語 dran pa; 漢訳 念) は記憶力と注意力の観察機能であると同時に、 より深い意味としては、一瞬一瞬の直感に寛容的に慈悲を持って接する平常心 (presence of mind) です。 この能力・修練方法はこの数十年で科学的に研究され、その結果、医療・法律・教育・職場など様々な場面で革新的な(ゆえに時に疑義のある)応用がされており、 現代的な問題や苦しみ(ストレス、不安症、うつなど)を緩和し、人間的繁栄と強みとしての徳性を促すことなどが期待されています。
 
私たちの研究会の認識論および方法論である「三慧」とは、その名の通り三種の智慧(聞慧・思慧・修慧)から成る仏教の智慧の育成方法であり、西洋の philosophia (論理的な論議と生き方の両面から、智慧を愛し求めること)と調和するモデルです。 三慧は、静的・二元論的な立場を超え、三種の智慧の源泉(伝統、合理性、直感)とその関係性をダイナミックに、段階的な智慧の再実現化および自己の知の獲得手段として示しています。マインドフルネスの記憶・内省・注意力的側面はそれぞれ三慧に統合することができます。さらに、三慧を現代学問に当てはめると、(1)文献研究(2)思想研究(3)実践研究を結びつけるモデルとして理解することができます。
 
当研究会では、毎年一人から三人の大学院生を受け入れることができます。詳しくは、是非マインドフルリビング研究会のウェブサイトをご覧下さい :
 
https://www.gsais.kyoto-u.ac.jp/trg/mlrg/index-jp.html

京都大学大学院 総合生存学館

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