京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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教員コラム<土井隆雄特定教授>

私が京都大学にやって来たのは、2016年4月です。有人宇宙活動を学生の皆さんに教えようと思って来たのですが、いざ、始めてみると、有人宇宙活動の経験は話せるのですが、それ以上に議論が深まりません。それは、有人宇宙活動が学問になっていないからだと、思い当たりました。即ち、有人宇宙活動は活動であって、体系立てられた学問にはなっていないのです。
 
そこで、私は有人宇宙活動の学問を「有人宇宙学」と名付け、「有人宇宙学」を作るための研究教育活動を開始しました。「有人宇宙学」とは何か。それは、「人類が宇宙に展開するための学問である」と定義しましたが、その内容を創り上げるために試行錯誤を繰り返しています。
 
京都大学に来て一番初めにしたことは、学生の皆さんに有人宇宙活動を体験してもらうことです。2017年から花山天文台で有人宇宙ミッションを模擬した有人宇宙学実習を始めました(図1)。学生の皆さんが天体観測や宇宙実験を行い、また、閉鎖環境での自分やチームの反応を観察する5泊6日の体験実習です。今年2021年は、5回目の実習を飛騨天文台で行う予定です。
 
総合生存学館に移ったのは2020年4月です。現在は有人宇宙学研究センターに所属し、宇宙での樹木・木材の利用法を考えています。人類は、太古の昔から樹木・木材と暮らしてきました。樹木・木材は私たちが作れる唯一の再生可能資源です。宇宙で樹木・木材を使うことができるならば、宇宙で暮らすための資源をどこから調達すれば良いかという問題を解決できる可能性があります。宇宙で木材を使うことが可能だということを証明するために、世界で初めての木造人工衛星(図2)を開発しています。
 
有人宇宙学研究センターでは、アリゾナ大学を協力してアリゾナ大学が運営するバイオスフィア2で日米の学生が参加する有人宇宙キャンプ(Space Camp at Biosphere 2: SCB2)も実施しています。バイオスフィア2は甲子園球場ぐらいの広さを持つ準閉鎖環境生態研究施設です。学生の皆さんは、地球の生態系の相互関係を学びながら、火星にバイオスフィア3を設計することがこの有人宇宙キャンプの目的です。
 
宇宙をめざす諸君、来たれ!有人宇宙学研究センターへ!大いに宇宙への夢を語り合い、実現して行こう!

 



図1 有人宇宙学実習



図2 木造人工衛星

京都大学大学院 総合生存学館

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