京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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教員コラム<ディミター・ヤルナゾフ教授>

 総合生存学館のDimiter Ialnazov(ディミター・ヤルナゾフ)です。発展途上国における再生可能エネルギー促進政策について研究を行っています。また、複合型研究会の一つである持続可能な経済研究会を主宰しています。今回、総合生存学館の教員と学生による共同研究・共著論文について述べたいと思います。
 総合生存学館に入学する前に、多くの学生は「どのようなテーマ(課題)について研究すれば良いのか」、「私の研究能力は十分なのか」、「査読付き国際ジャーナルに少なくとも論文一編を掲載しないといけないが、私にはそれができるのか」といった懸念や不安を抱えていると思います。当然、こういった懸念は他の大学や研究科に入学する学生の悩みに似ていますが、総合生存学館の場合一体何が違うのでしょうか。
 総合生存学館に入学する学生は必ずしも研究指導教員と同じ研究テーマ(課題)にしないといけないという縛りがありません。多くの学生の場合、研究指導教員の専門分野に近いですが、研究指導教員の研究テーマと異なる課題について研究を行い、査読付き国際ジャーナルに学術論文を掲載しています。それが実現可能となっている理由は何でしょうか。
 その問いの一つの答えは複数指導教員制度です。総合生存学館では、主指導教員、副指導教員(総合生存学館の教員)、および他の研究科の教員である指導委託教員という3人体制で学生を研究指導することが可能です。指導委託教員から専門的なアドバイスを受けながら、主指導教員の研究テーマと異なる課題について研究を行っている学生もいます。
 もう一つの答えは学際的、あるいは分野横断的な研究です。学際的、あるいは分野横断的な研究の目的は、ある社会課題の解決のために必要である多様な専門分野の「知」を融合することです。また、大学の教員や研究者だけではなく、行政、企業、住民、NGOなどのステークホルダーを巻き込んで、その社会課題の解決を目指す研究です。研究指導教員と異なるテーマについて研究を行っている総合生存学館の学生の場合、異なる視点や異なる研究手法を自身の研究に取り入れるチャンスが増え、それにより研究の独自性がさらに高まります。
 持続可能な経済研究会から、2022年3月に修了した羽尾一樹氏と2024年度に修了が見込まれる平田礼王氏の研究を紹介します。羽尾氏は「再生可能なエネルギー発電所の立地リスクに関する地理情報システム(GIS)分析の応用」というテーマについて研究を行い、私と山敷庸亮教授(総合生存学館教授)と一緒に執筆した論文を査読付き国際ジャーナル (Frontiers in Sustainability)に掲載することができました。平田氏の研究テーマは「タイに進出する日系企業の子会社による国際環境基準であるISO 14001の導入」です。彼も私と三重野文晴教授(東南アジア地域研究研究所教授)と一緒に執筆した論文を査読付き国際ジャーナル (Current Research in Environmental Sustainability)に掲載することができました。
 ぜひ皆さんも総合生存学館に入学して、私と一緒に研究を行い、共著論文の掲載を目指しませんか。

京都大学大学院 総合生存学館

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