京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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新年(2023年)のご挨拶

年頭のご挨拶

京都大学大学院総合生存学館(思修館)
学館長 積山 薫
2023年1月

新年おめでとうございます。

昨年は、ロシアによるウクライナ攻撃がもたらした世界情勢の緊迫があり、容易には解決しそうにない状況が今も人々の心に暗い影を落としています。それに端を発する輸出入の変化や世界的なインフレなどから、日本にいる私たちにも大きな影響がありました。中でも、円安の影響は大きなものです。学館では、3年次以上の時期に6ヶ月以上の武者修行を行うことが必修となっていますが、海外で武者修行を行う際の渡航費や滞在費が高騰しています。昨年度はコロナ禍のために国際機関での武者修行を京都にいながらオンラインで実施するケースが多かったのですが、今年度はほとんどの人が現地で武者修行を行っています。

今年度、新たに海外での武者修行に出発した人の行き先は、UNESCO本部(フランス)、世界銀行トルコ事務所、National Institute of Industrial Property(ブラジル)、チュラロンコン大学(タイ)、ブラウン大学(アメリカ)、UNESCO MGIEP (インド)、マサチューセッツ工科大学(アメリカ)、テキサス大学(アメリカ)、ウメオ大学(スウェーデン)などです。経済的に大変かもしれませんが、現地での武者修行が可能になった幸運を噛み締めて、大きく成長してほしいと思います。

教員については、JICAから井黒伸宏特定教授(鍋田肇先生の後任)をお迎えすることができました。ラオスをフィールドとする海外サービスラーニングの実施を推進していただいた他、JICAトルコ事務所長だった井黒先生のご尽力で、上級生の武者修行やPBR(Project-based Research)に関して、トルコをフィールドとした活動が実現しました。

また、最近着任された先生方に新風を吹き込んでいただき、今年度は指導教員以外の教員による学生面談を広く実施しました。海外の大学院ではこうした第三者的な教員による面談が義務づけられているところもあるそうですが、日本では先進的な取組みではないかと思います。今回は下級生を中心に個々の学生の学館への適応状況や履修状況をしっかり把握することができました。まだ面談を受けていない学生もいるかもしれませんが、全員に行き渡るよう、引き続き実施して行きます。面談での学生からのフィードバックを参考に、学館の教育研究指導をより良いものにして行きます。

総合生存学館は、2013年の設立以来、10年目を終えようとしています。5年一貫制博士課程として、2018年3月から修了生を輩出し始め、これまで5期に渡り25名の博士号(総合学術)取得者を社会に送り出してきました。この3月には、また新たな修了生が生まれるでしょう。これまでの修了生は、大学、研究機関、国際機関、企業、官公庁などに就職し、また一般社団法人や会社を設立した人もいます。修了生調査では、就職先においてほとんどの人が比較的短期間に指導的ポジションについていることがわかりました。また、彼らの上司への調査でも、先進的な企業ほど本学館の修了生に高い価値を見出してくださっていることがわかり、学館のカリキュラムによって輩出される人材はこれからの時代にますます求められると意を強くしたところです。従来とは全く違う技術や価値観が席巻するであろう未来に対して、どのように備え、どのように適応していくか、そうした創造的な戦略を生み出すことのできる人材が、1人でも多く巣立つことを願います。

京都大学大学院 総合生存学館

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