京都大学大学院総合生存学館(思修館)

EN

menu

教員コラム<水本憲治准教授>



学生時代、時間をみつけては旅をした。中国滞在中は、
夜は寝台夜行バスで寝床を確保。畳1畳分のスペースに
2人が横になる。


テーマ:自身の特性を知る大切さ
 
2月上旬、所属学生の皆さんの研究成果発表会を聴講する機会を得たが、その多様性に驚かされる。
総合生存学館は、「現代社会が直面する様々な課題に挑戦し、強い意志をもって解決策を実践する次世代型リーダーの育成を目指して」いることからわかるように、学生自身で課題設定をし、それを指導教員・スタッフがサポートする形式をとっているのが特色の一つである。一般的に多い、指導教員の研究内容を推進する形式ではなく、研究課題について自由度が高くなるが、キャリアを自身でデザインし、切り拓かなければならず、必然的に、キャリア形成の途中に「孤独」を感じる機会や、「不安定さ」が不随する可能性が高いだろうと思う。
在籍期間中は、こうしたリスクへの耐性を含めた自身の特性を知るいい機会だ。また、この機会に、自身の信念を貫く「芯」をしっかりと作ってもらいたい。
 
「この研究を失敗すれば、研究者を辞めてアルバイト生活をはじめる」と言っていた同僚研究者、「ぼろ雑巾」と自身のことを形容していた米国時代の仲間研究者。アカデミアの分野では、「常識を疑え」「オリジナリティ」の重要性が説かれるが、その過程はつらい。だからこそ、「芯」がなければ、挑戦の継続は困難と感じる。また、継続が常に美徳とも思わない。心身・人生のバランスを崩さないよう、どの程度まで耐えられるのかという自身の防衛ラインの理解も重要だ。
 
私事であるが、2021年9月に総合生存学館で専任教員となる機会を得られた。京都大学、白眉プロジェクト、そして総合生存学館で働く機会につながっていたからこそ日本に帰国したので、素直に嬉しく思っている。いままでのキャリアを辿れる礎を作ってくれたのは、京都大学学生時代だ。仲間であり、学生活動を通じての経験だと思っている。学館の元専任教員の塩田先生、光山先生、千葉先生、の授業の受講機会もある一方で、尾身茂先生(当時、WHO西太平洋事務局長)に現地でお話を聞く機会や、中村哲先生(ペシャワール会)の自宅・拠点(パキスタン、ペシャワール)で寝泊まりさせていただきながらインターンシップをする機会にも恵まれた。「自由の学風」を多少曲解していたかもしれないが、京都大学ならではの環境を最大限享受した一人として、学生のキャリアを支える側になれたのは本望だと思っている。
学生のみなさんの研究課題やその社会課題の解決にかける想いに触発を受けながら、自身の研究も負けずに推進しようと思っている。「ヒト健康課題に焦点を当てながら、異分野融合研究を推し進め、新規性の高い研究に挑戦し続ける」ことを研究室ビジョンと設定した。感染症にとどまらず、健康領域に興味がある学生は、どうか気軽にコンタクトしてほしい(リサーチアシスタントも募集中)。
 
水本憲治准教授の個人ページ
http://square.umin.ac.jp/kj/kmizumoto_jp.htm

京都大学大学院 総合生存学館

〒606-8306
京都市左京区吉田中阿達町1 東一条館1階
TEL 075-762-2001 / FAX 075-762-2277
MAIL info.shishukan@mail2.adm.kyoto-u.ac.jp