京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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遊聞会便り(第27号)

江﨑俊介(2018年度 修士号取得修了)
(株式会社プルータス・コンサルティング コンサルタント)




皆様、大変ご無沙汰しております。2016年入学、2018年修士号取得修了の江﨑俊介です。
新年度を迎え、新たな挑戦の最中である方も多いのではないでしょうか。引き続き新型コロナウイルスの影響が続く中ですが、お体にはお気を付けて、お互いに頑張りましょう。
 
さて、この度は、並み居る諸先輩方に続き、私のような者が寄稿をさせていただく機会を頂戴し、誠に光栄です。多少なりとも誰かの参考になれば幸いです。
 
近況報告もかねて、思修館修了後の職歴を書きます。私は2018年4月に内閣府に入府しました。当時は菅義偉総理大臣が官房長官の時代でしたので、内定式に菅さんがいらしたことを覚えています。配属先は、政策統括官(経済財政運営担当)付参事官(総括担当)付で、経済財政諮問会議の運営、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の取りまとめ等を所掌する部局でした。なお、「政策統括官付」が一般に言う「局」を、「参事官付」が「課」を示します。このような名称の使用は、2001年の中央省庁再編に端を発します。
 
理学部及び工学研究科でお世話になった私が国家公務員として就職した理由は、学術研究における態度及び手法が、政策立案過程等に応用できるのではないかと考えたからです。実際、内閣府の所掌事務の一つに、合理的な根拠に基づく政策立案(EBPM, Evidence Based Policy Making)の推進があります。
 
2019年9月には、内閣府内の部署移動と同じタイミングで退職し、株式会社プルータス・コンサルティングに入社しました。有価証券の第三者評価機関であるプルータスは、資金調達等に際した株式価値評価、M&A(Merger and Acquisition)における第三者委員会のFA(Financial Advisory)、エクイティ・インセンティブの設計・評価等の業務を行っています。前職から立場は大きく変わりましたが、データ及び学術的な見地から企業行動をサポートするという点では、類似するテーマを扱っていると考えています。
 
大学院での生活を振り返ると、思修館は、社会との接点が多くあると同時に、自分の専門分野と好きなだけ向き合うことの出来る、貴重な場所だったと感じます。公務員やビジネスマンは、「実践」が可能な立場にはありますが、(理由は不明ですが)常に時間が無く、インプットの時間が十分に取れません。一方、長期に亘り社会に新しい価値を提供し続けるためには、限られた時間の中で研鑽を積む必要があります。思修館での生活は、その基礎能力を身に付ける上で良い経験だったと感じています。
 
在学生の中には、今の生活にしっくり来ていない人も、もちろんいると思います。私は、東京にはない京都の良さの一つに、そのような気持ちを許容してくれる点があると考えています。学生の今だからこそ、一度立ち止まってじっくり考えてみることも良いのではないでしょうか。ただし、教員をはじめ関わってくれている方々への感謝は忘れないようにして下さい。
 
私は引き続き、社会へ良いインパクトを与えられるように努力して参ります。いつか、皆様と何らかの形でお会い出来ることを楽しみにしております。
末筆ではございますが、思修館とその関係者の皆様の益々の御発展・御活躍をお祈り申し上げ、御挨拶とさせていただきます。
 
2021年04月11日

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