京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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教員コラム<ディミター・ヤルナゾフ教授>



持続可能な経済研究会に参加する学生と一緒に

こんにちは。ディミター・ヤルナゾフ (Dimiter Ialnazov)です。ブルガリアのソフィア市出身です。京都大学大学院総合生存学館(思修館)が設立された当初(2013年4月)から学館での教育や研究に携わっています。
 
ずっと昔から経済学は他の学問(政治学、社会学、心理学)と統合できるのか、また、現実の世界が抱える問題の解決に経済学の理論を応用できるのかに強い関心を持っています。総合生存学館に着任する前に、政治経済学と制度学派経済学を用いて旧社会主義国(中東欧諸国、ロシア、中国、及びベトナム)における市場経済への転換について研究してきました。近年の研究テーマは発展途上国における再生可能エネルギーへの転換です。データ収集のために、現場に足を運んで、質問表やインタービューを活用したフィールド調査を行っています。
 
現在、太陽光や風力のような再生可能エネルギーの普及促進は世界各国で行われていますが、温室効果ガス排出量実質ゼロを達成するために、発展途上国における再生可能エネルギーへの転換は必要不可欠であると考えています。発展途上国においては、人口や一人当たり国内生産 (GDP)が早いペースで増加し、さらに工業化及び都市化が進んでいるため、エネルギー需要が急上昇しています。もし化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の利用により急上昇しているエネルギー需要を満たすことになれば、温室効果ガス排出量が増加し続け、地球の気候変動に歯止めをかけることはできなくなります。
 
複合型研究会の一つである持続可能な経済研究会 (Sustainable Economy Research Group; 旧名称は「グリーン・エコノミー研究会」)で学生と一緒に教育や研究活動を行っています。2019年度〜2020度に持続可能な経済研究会のメンバー4人(キーリーさん、羽尾さん、ボリコさん、田中勇伍さん)と一緒に「実践する総合生存学」という新しい書籍の第3章を執筆しました。第3章のタイトルは「途上国における再生可能エネルギーへの転換の現状と課題」です。インドネシア、ベトナム、及びケニアにおける再生可能エネルギーへの転換についてのこれまでの研究成果をまとめました。ちなみに、「実践する総合生存学」という新しい書籍は2021年1月に刊行される予定です。
 
現在、私が指導している3年生と2年生と一緒に毎月に2回持続可能な経済研究会を開催しています。現在のメンバーの研究テーマは極めて多様であり、以前のように一つのテーマ(発展途上国における再生可能エネルギーへの転換)に集中していません。その結果、学生同志の共同研究は難しくなっていますが、リサーチデザインや研究手法という点において他の学生から学べることが多いです。現在の3年生と2年生の研究テーマの一部は以下の通りです。
・「東アジア都市の文化の繁栄と無形文化遺産の活用」
・「中国におけるスタートアップ企業の成功の要因」
・「日本の都市の気候ガバナンスに影響を与える要因」
・「中国における太陽光エネルギーの活用による貧困削減プロジェクトの評価」
・「途上国における多国籍企業の環境経営に影響を与える親会社の要因」
 
研究テーマは多様ですが、持続可能な開発目標 (SDGs)の達成に係る課題解決、学術的研究と実践的研究の融合、及び分野横断型なアプローチの必要性という点において全ての学生は共通認識を持っています。ちなみに、学部時代に経済学または経営学を専攻していなかった学生もいます。
 
持続可能な経済研究会についての動画を以下のYouTubeチャンネルからご覧いただけます。毎月2回の研究会及び年度2回のミニワークショップに何方でもオンラインまたは会場で参加できますので、ご関心のある方は私までお知らせください。
https://www.youtube.com/channel/UCb3kbi26FpLj0CBviV6sW_A/videos

京都大学大学院 総合生存学館

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