京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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レポート 2019年度武者修行(3)

武者修行として、4年次に6ヶ月程度国際機関等へのインターンシップを実施しています。
世界視点での自らの位置取りと意識の改革に加えて、国際的リーダーとしての意識と責任感及び突破力を一体的に育成することを目的としています。
2019年度の武者修行から帰国した、学生を一人ずつご紹介します。

プロフィール
名前  :関 大吉
専門  :総合生存学/太陽物理学
派遣機関:ケンブリッジ大学の生存リスク研究センター(Centre for the Study of Existential Risk)
     及び応用数学・理論物理研究科(Department of Applied Mathematics and Theoretical Physics)
派遣国 :イギリス
派遣期間:2019年4月〜2020年3月
 
武者修行はいかがでしたか?業務内容を詳しく教えてください。
ケンブリッジ大学に客員研究員として約一年間滞在し、もし災害級の太陽面爆発(これまでに観測された爆発の1000倍ものエネルギー)が発生したら、人工衛星はどのくらい被害を受けるのか、というテーマで研究していました。ケンブリッジには、生存リスク研究センターと応用数学・理論物理研究科という2つの研究機関に加え、太陽面爆発の人工衛星への被害研究で有名な、英国南極観測局もあり、実際にはこれら3つの機関を行き来し、研究していました。
本研究を進めるにあたっては、太陽の物理だけでなく、地球周辺のプラズマ環境の物理、人工衛星が故障した場合の経済被害推定、疫学、災害学など、関連のありそうな分野は片っ端から調べ、課題に向かいました。世界トップの大学ということもあり、大変優秀な方々に恵まれ、満足のいく結果を残せたと思います。
 
印象に残っている出来事は何ですか?
議論に対する姿勢の違いが、主に2点あります。
一つ目の違いは、スピード感です。日本では、議論の際、ひとりひとりが順番に話す印象がありましたが、僕がいた研究機関では、お互いに、思った瞬間に、遠慮なく全てを話すため、議論の速さが全く違いました。ときには「英語で、相手の話を聞きながら、同時に自分の意見を言う」という非常に困難な場面にも出くわしましたが、おかげ様で当時はだいぶ英語力がついていたと思います。(笑)
二つ目の違いは、フラットさです。研究に関することであれば、年齢、性別、人種、関係なく、自分の正しいと思うことをはっきりと言える環境がありました。さらに、研究メンバー全員に、たとえどんな意見でも、それを受け止める大きな度量が備わっていました。
 
武者修行に関してアピールしたいポイントを教えてください。
これは以前も書かせていただきましたが、長期に渡って海外にでることで、これまで意識していなかった、自分の無意識の価値観がわかると思います。わかいうちに、このいわば「自己に揺さぶりをかける」経験をしておくと、自分が、無意識に何を大切にしているか、または(むしろこちらの方が重要だと思いますが)無意識に何を「嫌っているか」がわかり、今後の人生において、不必要にイライラしたり、ひとを傷つけたりすることが、少なくなると思います。
 
最後に、後輩や大学院進学を考えている方へのメッセージをお願いします。
これも以前書かせていただきましたが、ここ思修館に入学するしないに関わらず、もし可能ならば、自分独自の武者修行を行うことをお勧めします。まだ感性が豊かで、頭が柔らかく、いくらでも自分の性格・価値観を変えられる時期に、自己に揺さぶりをかけると、自分のことがより良くわかって、より豊かな人生を歩めると思います。良い意味でも悪い意味でも、他の大学院よりも自己が揺さぶられる経験を多く詰める、という意味では、ここ思修館はオススメかもしれません。
 
 
 
 
 

仕事の様子。どっちのカメラで撮るか、
確認すべきでした。
 

英国王立天文学会前。内装はきらびやかで、
「貴族の家」といった雰囲気でした。
 

トリニティカレッジにて。後ろの方は、
アイザックニュートンさんです。

京都大学大学院 総合生存学館

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