京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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新年度のご挨拶

今こそ総合生存学

2020年4月
京都大学大学院総合生存学館(思修館)
学館長  寶  馨 

 3月23日、大学全体の学位授与式が新型コロナウィルス(COVID-19)の影響で中止になりましたので、学館内で挙行しました。博士(総合学術)の学位を6名に、修士(総合学術)の学位を12名に授与いたしました。修了生の皆さん、誠におめでとうございました。
 博士の学位を得た皆さんは、この5年間は、海外の長期渡航(武者修行)をはじめとして様々な経験を積み、人間的にも能力的にも大きく成長されました。たくましくなった自分を見つめ、また、これからもさらに学び続け、世のため人のために貢献してくれるようお願いいたします。修士の学位を得た人は、これを励みにさらに博士の学位を目指して頑張ってください。
 4月に新たに総合生存学館に入学した学生諸君、おめでとうございます。こちらもCOVID-19の影響で、入学式が中止となりました。4月初旬に来日できない留学生もいることが判明しました。大学では、大人数の教室での感染を防ぐため、遠隔講義(オンライン講義)での開講に備えています。
 さて、総合生存学は、Human Survivability Studies と英語では表記しています。皆さんご存知のように、COVID-19は12月下旬に中国で発覚してから、この3か月ほどの短い間に全世界に広まりました。APF (L’Agence France-Presse) によれば4月2日現在で、世界全体で 1,000,036 件の症例があり、死者は 51,718人を数えています(我が国では、NHKによれば 2,793の感染確認で死者は73人)。まさに人の生死(human survivability)に関わる感染症災害であり、グローバル時代だからこその人の行動に起因する災害だと言えます。人の移動が少なければ、国内のみで収まっていたものが、海外渡航がかなり自由となった現代、瞬く間に全世界に蔓延してしまったのです。
 見えない敵と戦うグローバルリスクが、パンデミック(感染爆発)という形でまさに現実化しました。こうした事態に対して、多くの国の政府は有効な対策を打てませんでした。海外では医療崩壊と呼ばれる事態も発生し、外出禁止措置をとっている国もあります。業務停止や失業を余儀なくされた人々に補償措置を始める国も出てきました。我が国も早晩そのような対策を取らねばならないことになるかもしれません。
 学位授与式の時にも申しましたように、総合生存学を専攻した皆さんは、このような深刻な事態にどのように対処したら良いか、自分の研究分野の観点から、あるいは、総合生存学の立場から考えてみてください。
 今こそ、総合生存学(Human Survivability Studies)の意義が広く認識される時なのです。
 皆さんのご健康とこれからのご活躍を祈り上げます。

[English]

京都大学大学院 総合生存学館

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