2014年4月より思修館に加わった山口栄一(やまぐち えいいち)です。今年3月末日で思修館を定年退職します。
 
元来の専門は自然科学でしたが、5年間住み暮らした南仏から帰国して以来、社会科学に転ずるとともに、私の量子物理学研究から生まれた技術知に基づいて5社のベンチャー企業を創業しました。とくに昨年度に起業した「がん征圧の物理学」ベンチャーは、多数の方々の出資をいただき順調に育っています。
 
思修館では、物理学と技術経営学とを統合してイノベーション政策科学の研究をするとともに、文理を問わずに科学誕生の本質を教える「科学創成論」やイノベーションの成就へのプロセスを教える「イノベーション創成論」を担当してきました。また産官学連携本部を兼務し、京都大学全学の「知」を構造化して企業幹部に教授する京都大学エグゼクティブ・リーダーシップ・プログラム(京大ELP)を設計し、経営してきました。
 
この最終年度は最も記憶に残る年となりました。「イノベーションと科学の同時危機」の起源を見出してそこから脱するために訴えてきた制度改革がついに「SBIR改革法案」として国会に提出されたのです。しかも2年間熟成させてきた新しい産学連携の仕組みがようやく実り、京都の7企業・7大学が肩を組んで新産業創造をめざす研究連合体がまもなくできます。「同時危機」に歯止めがかけられるかどうか、2020年度が試金石となることでしょう。

(2020年2月18日)


本年度、博士号を取得予定の佐々木勇輔さん(2014年度入学、専門:遺伝子工学。米バークレイで武者修行後、帰国)
 
 
 

2015年度より現在まで5年間、京大ELPを主催し、来年度も引き続き統括する。
2018年度には、本庶佑 特別教授を講師としてお招きした。

 
 
 
 

鶴羽愛里さん(2015、認知神経科学、仏パリ)と夫津木廣大さん(2015、国際政治学、エジプト・カイロ)。なお、Xu Congさん(2016、経営学)、前田里菜さん(2016、生物化学)、長島瑠子さん(2016、科学コミュニケーション論)は、それぞれタイ・バンコク、英ケンブリッジ、豪キャンベラで武者修行中。