文責 山敷庸亮(総合生存学館教授)
京都大学大学院総合生存学館(環境災害研究会)、京都大学大学院理学研究科宇宙物理学教室および宇宙総合学研究ユニット・宇宙生物学研究会は、8月31日、太陽系外惑星データベース ExoKyoto (エクソプラネットキョウト)をweb上で公開しました。
URL www.exoplanetkyoto.org
 
<ExoKyotoについて>
本データベースは、すでに存在する Exoplanet.eu, Open Exoplanet Catalogue, NASA exoplanet archive などの他のデータベースとの相互比較参照モジュールや、トランジット法のみで確認されているスーパーアースサイズの惑星についての質量推定モジュール(Larsen & Geoffrey, 2014)、複数の惑星を有する恒星系の惑星間のパラメータを自動で補正するモジュールなどを有し、過去のデータベースを包括した上位互換的なデータベースとなっています。
 
また、ハビタブルゾーンについては、Kopparapu et al. (2013) の定義の他に、太陽系相当天文単位(SEAU)などを定義し、異なるハビタブルゾーンの定義を互いに比較することができるようになっています。すでに発見されている系外惑星だけではなく、12万個以上の恒星データベース(HYGデータベースなど)の恒星データを取り込んでおり、そのほとんどすべての恒星に対して基礎恒星パラメータや推定値をもとに上記のハビタブルゾーンの計算を行っており、さらに恒星の大きさや等級などを画像で確認できます。また、GJ876など複数の系外惑星を有する恒星系を図示できます。
 
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(ExoKyotoを用いて表示したGJ876恒星系 4つの系外惑星(GJ876 b, c, d, e)と中心星GJ876, 下の4枚の図はそれぞれその大きさの比較が、下の段の4つに記されています。左からハビタブル惑星が見つかったProxima Centauri星との比較、二番目が太陽との比較、三番目がふたご座のポルックス(Pollux)との比較、一番右側がオリオン座のリゲル(Rigel)との比較)。
さらに、京都大学で発見されたフレア星や突発天体のリストや、Stellar画面を用いた系外惑星表示や周辺の恒星の表示、Google Sky を用いた天球上での惑星系の位置表示など、これまでにはなかった多様な機能も新たに組み込まれています。また、系外惑星を主星の視等級、トランジット周期、減光率、天球上での位置など、様々な条件を用いて選定し、その系外惑星や恒星パラメータの検索を行うことができます。
 
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Stellarマップ、天球上で系外惑星を表示する。
ExoKyoto を利用することで、現在までに蓄積してきた恒星観測の情報や結果をもとに、新たなハビタブルゾーンの判定基準を加えたり、星や惑星系の進化に関する観測・議論に役立てることができるとともに、様々な研究機関での観測データを融合して、今後重点的に観測すべき天体を選定・提案することができると期待されます。各大学やアマチュア天文家の方々が、系外惑星の観測を行ってゆく上での重要なツールとして、ExoKyoto を利用していただけることを期待しています。
なお、データベースにより保持されている情報は上記Webページで公開されており、モジュールを随時追加する予定です。ホームページ上には系外惑星探査方法、有名な系外惑星についての記述、その他役にたつ情報が記載されております。上記アプリケーションの利用希望の方の申請も募っております。
 
<プレスリリース講演会について>
2016年8月31日大学院総合生存学館大講義室で開催されたプレスリリースでは、川井秀一学大学院総合生存学館長(大学院総合生存学館特定教授)および、家森俊彦宇宙総合学研究ユニット長(大学院理学研究科教授)の後、本データベース開発主任の山敷庸亮・大学院総合生存学館教授より、ExoKyoto開発の経緯や、恒星系データベースの紹介や、データベースの意義の説明がありました。
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続いて佐々木貴教大学院理学研究科宇宙物理学教室助教から、(1)惑星科学の理論研究者へは、ハビタブルプラネット研究の推進(2) アマチュア天文家を含む観測チームへは、観測天体の選定と観測計画立案のサポート(3)天文学に興味のある一般市民へは、系外惑星に関する日本初ポータルサイトの提供 という三つの意義の説明がありました。
最後に土井隆雄宇宙総合学研究ユニット特定教授(元宇宙飛行士)から、ExoKyotoを用いて実際にアメリカで系外惑星を選定してトランジット観測を行った結果の発表と、花山天文台を中心にExoKyoto を用いてアマチュア天文家のネットワークとともに系外惑星観測を大規模に行ってゆく構想の発表がありました。
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本プロジェクトにはまた高等学校との連携も行っており、データベースホームページには、SGH守山高等学校2年の下崎紗綾さん(16)と藤田汐音さん(16)がKepler-186f, 452b, Proxima Cenbなどの 系外惑星の想像図を描かれております。さらに上記アマチュアの観測ネットワーク構築において、磯部洋明大学院総合生存学館准教授を通じて京都工学院高校との連携の構想も進んでおります。
データベース開発にあたって様々なモジュール開発に協力した黒木龍介氏(大学院総合生存学館1年)、村嶋慶矢氏(理学部一回生)、佐藤啓明氏(工学部一回生)、宇宙生物学ゼミ世話人の野津翔太氏(大学院総合生存学館1年)から、開発協力の紹介がありました。
最後に柴田一成花山天文台長(大学院理学研究科教授)より、来年度に運用を開始する予定の東洋一の京都大学岡山3.8m大型望遠鏡の説明と、天文台を中心とした系外惑星観測ネットワーク構想について説明がありました。
 
*本データベース公開について、8月31日にプレスリリースを行い、多数のメディアで紹介されています。
 
(新聞誌 (共同記事の配信社含む))
 
・共同通信
http://this.kiji.is/143629448867545092?c=39546741839462401
 
・京都新聞
http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20160831000166
(9月1日朝刊(京都) 23面)
 
・産経ニュース
http://www.sankei.com/region/news/160902/rgn1609020053-n1.html
(9月2日朝刊(京都) 24面)
 
・毎日新聞
(9月6日朝刊(京都)24面)
 
・日刊工業新聞
(9月5日 科学技術・大学)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00398565
(9月5日朝刊(京都) 17面)
 
共同通信記事の掲載新聞
 
・北海道新聞
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/science/science/1-0310908.html
 
・東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016083101001512.html
 
・河北新報
http://www.kahoku.co.jp/naigainews/201608/2016083101001512.html
 
・中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2016083101001512.html
 
・西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/science/article/271181
 
・信濃毎日新聞
http://www.shinmai.co.jp/news/world/article.php?date=20160831&id=2016083101001512
 
テレビ
・NHK
http://www.nhk.or.jp/kansai-news/20160902/5301591.html