NEWS

  • お知らせ

【教員・受賞】山敷教授:第29回 京・ベストタイドレッサー認定

西陣織と宇宙を結ぶ「装いの思想」

— 第29回 京・ベストタイドレッサー認定に寄せて —

 

 

本学大学院総合生存学館 教授・専攻長であり、SIC有人宇宙学研究センター長を務める山敷庸亮教授が、2026年1月6日、西陣織工業組合主催、京都府・京都市共催による第29回「京・ベストタイドレッサー」(主催:西陣織工業組合、共催:京都府・京都市、協賛:京都ネクタイ協会)に認定された。



本認定事業は、西陣織ネクタイのブランド価値向上と、京都発の装い文化の振興を目的として、長年にわたり継続されてきたものである。

 

西陣織は、平安時代に起源を持ち、応仁の乱後に各地に散った織師たちが再び集い、「西の陣」の名のもとで技を磨いてきた、千年以上の歴史を有する織物技術である。軽やかで美しく、かつ高い強度を併せ持つ絹織物の技術は、時代とともに進化しながら受け継がれてきた。

 

近年、この西陣織の技術は、伝統工芸の枠を超え、先端分野への応用可能性を示している。

2025年8月、京都大学大学院総合生存学館SIC有人宇宙学研究センターと、アマテラススペース株式会社、岐阜医療科学大学との共同により、「西陣織宇宙服」の開発が発表された。

この宇宙服は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において、大阪ヘルスケアパビリオン、関西パビリオン京都ゾーン、京都市役所など複数の会場で展示され、伝統工芸と宇宙工学の融合を象徴する試みとして大きな注目を集めた。

 

宇宙服に関する記者会見の場では、タイヨウネクタイ株式会社による西陣織ネクタイが着用され、とりわけブルーを基調とした文様が印象的であったことが、今回の認定につながる評価の一因となった。

授賞式当日には、祇園祭の意匠を織り込んだ西陣織ネクタイが着用され、京都文化の精神性を体現する装いとして紹介された。

 

 

現在は、タイヨウネクタイ株式会社および京都市産業技術研究センターの協力のもと、強化繊維を用いた新たな西陣織素材の研究開発が進められている。

これらの素材は、宇宙分野にとどまらず、防災や安全、人命保護といった分野への応用も視野に入れたものであり、実用化に向けた強度評価においても一定の成果が得られている。

 

西陣織は、過去の文化遺産として保存されるだけの存在ではなく、高度な織機技術と素材工学を基盤とする「生きた技術」である。

今回の京・ベストタイドレッサー認定は、装いを通じて、京都の伝統文化と最先端科学技術を未来へとつなぐ取り組みを象徴するものといえる。