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関西電力舞鶴発電所を訪問しました。

2025年8月7日、カーボンニュートラルを達成する決め手の一つであるCO2分離回収・貯留・輸送の実証設備を見学するため、京都大学の長山浩章教授を団長とする資源エネルギー研究会の4名の参加者と日立製作所の担当者が、関西電力舞鶴発電所を訪問する機会をいただいた。舞鶴発電所には超々臨界圧(約43%のプラント熱効率)の最大900MWの発電能力を持つ発電ユニット2基がある。また、構内にはNEDO事業として、川崎重工業が運営するCO2分離回収技術研究設備と日本CCS株式会社が運営する世界初の低温・低圧液化CO2輸送技術確立のための研究開発および実証試験事業の諸設備が設置されている。

 

 

舞鶴発電所の大会議室では、関口所長のご挨拶のあと、参加者は紹介ビデオを含む発電所の運営概要について説明をいただいた。

発電所の視察では、以下の主要な場所を訪れた:

  • 桟橋:長さ729メートルの桟橋は、735本の鋼管杭で支えられており、8万トンの石炭船を2隻同時に接岸させることができる。参加者は、毎時2,000トンを処理できるバケット式石炭アンローダーを使用した荷揚げプロセスについて学んだ。

桟橋でのブリーフィング

写真:

後列 関西電力エネルギー・環境企画室高木室長をはじめとする関西電力の社員

前列 日立製作所山田本部長、長山浩章教授、総合生存学館学生大久保亮汰、エネルギー科学研究所科Postdoctoral Fellow Dr. Siti Marsila MHD RUSLAN、総合生存学館学生Nur Faiqa MOHD FUAD、関西電力エネルギー・環境企画室岩田部長

 

 

 

 

  • CO₂分離回収実証試験施設:川崎重工業がNEDOの助成を受けて運営するこのパイロットプラントは、アミンでコーティングされた先進的な固体吸収材を使用した40トン/日回収量相当の試験設備である。排ガス中のCO2を固体吸収材に吸収させる「吸収塔」、固体吸収材中のCO2を取り出して回収する「再生塔」、固体吸収材に残された水分を除去する「乾燥塔」の3塔で構成されており、3つの塔の中の固体吸収材を循環させることで連続的に排ガスからCO2を分離回収できるものである。

 

資料提供:川崎重工業株式会社

 

 

  • CO₂船舶輸送実証施設:日本CCS調査株式会社が運営するこの施設は、主にCO2を液化・貯蔵・荷役する設備で構成され、低温・低圧での液化CO₂海上輸送の世界初の実証実験の一部である。本実証試験は、液化CO2の様々な条件下での輸送実証を行い、安全かつ低コストで大量に輸送する船舶技術の確立に取り組むものであり、CO2を輸送する船舶カーゴタンクシステムを組み込んだCO2輸送実証船「えくすくぅる」により、北海道苫小牧市の陸上基地との間で温度や圧力などを変えた、様々な条件で繰り返し輸送している。

 

 

今回の視察では、稼働中の石炭火力発電所における先進的な炭素回収・液化・輸送技術についての一連の動きを含め先進技術の現状を見学することができた。またNEDO、RITE(地球環境産業技術研究機構)、関西電力、川崎重工業、日本CCS調査など、産業界の包括的な協力がカーボンニュートラルへの移行をいかに加速させるかについて、実践的な視点を得ることができた。

 

近年ではデータセンター、半導体、電気自動車(EV)などの発展に伴い、今後増加することが予想される一方で、この需要の増加に対応しつつ供給力の柔軟性を確保するためには、引き続き火力発電が重要な役割を果たすことが求められる。その中で、どのようにカーボンニュートラルを目指していくか、燃料転換や二酸化炭素の貯蔵・活用(CCUS)の実現が大きな課題となっており、重要なことは今後、どの技術が産業ベースで成立可能性を持つかを見極めることにある。その中で、脱炭素の決め手のひとつであるCO2分離回収、液化、貯留、輸送の全システムを見学できたことは今後の研究に大きな参考となった。