研究概要

研究テーマ

有機合成化学、有機反応化学、有機金属化学

キャッチフレーズ

有機化学の面白さを伝える

概要

これまで有機合成化学の分野の研究に対して多くのノーベル化学賞が授与されてきました。チーグラー・ナッタのポリエチレンならびにポリプロビレンの合成、Witting反応、ハイドロボレーション反応、プロスカップリング反応などです。これら世の中に大きなインパクトを与え我々の生活を豊かにした研究がどのように誕生したのかを知ってもらい、有機化学の研究に親近感をもつとともに研究の面白さを知ってほしいと願っています。さらに、21世紀の最重要課題である環境問題と資源・エネルギー問題に対して、化学がどのように関わればよいかについて模索していきたいと考えています。

研究内容

有機合成において炭素−炭素結合生成反応は官能基変換反応とともに重要な位置を占めている(縦糸と横糸)。この炭素−炭素結合生成反応はイオン的 な反応と ラジカル的な反応に大別される。これまで炭素−金属結合をもつ有機金属化合物 を用いるこれら2つのタイプの反応について精力的に研究を進めてきた。中心となる反応はトリエチルボランからのエチルラジカルの発生に見られるホモリシス開裂と、アート錯体からの炭素陰イオンによる反応に見られるヘテロリシス開裂に基づくものである。今後もこれら2つのタイプの研究を推進していきます。

求める学生像

総合生存学館は世界に羽ばたくグローバルリーダーの養成を目的としています。 専門の知識を修得するだけでなく、他の研究科とは異なり、人間としての幅広い経験やコミュニケーション力を得ることができる新しい大学院です。広い領域にわたる「総合生存学」の確立を教職員と一緒に目指す人材を求めています。

有機反応化学、有機合成化学、有機金属触媒化学の研究に携わった40年の経験をもとに、化学の果たしてきた役割を正の面と負の面の両面から検証し、21世紀 にどのような貢献ができるのかという観点から総合生存学を考えたいと思っています。

経歴

1970年京都大学工学部工業化学科卒業。1972年京都大学工学研究科工業化学専攻修士課程修了。1975年京都大学工学研究科工業化学専攻博士課程修了、工学博士(京都大学)。1975年4月から1977年8月まで米国マサチューセッツ工科大学 博士研究員。1977年9月京都大学工学部助手。1984年4月同講師。1986年2月同助教授。1993年10月同教授。1996年4月改組に伴い京都大学大学院工学研究科教授に配置換、京都大学工学部兼担。2003年4月から2005年3月まで京都大学教育研究評議会評議員。2005年4月から2008年3月まで京都大学環境安全保健機構長、京都大学環境保全センター長併任。2008年4月京都大学大学院工学研究科長・工学部長。2010年4月京都大学名誉教授。 2010年5月京都大学特任教授。2013年4月京都大学大学院総合生存学館特任教授(現在に至る)。2014年2月京都大学副学長(現在に至る)。有機反応化学を研究。2005年有機合成化学 協会賞受賞。2007年日本化学会賞受賞。

発表論文・著書

JACS, JOC, Angew, Organometallics, OL, Synlettなど英文論文約500稿、総説「新規ラジカル発生法とその有機合成への応用」など37編、著書「基礎有機化学」(東京化学同人)・「有機金属化学」(丸善)・「現代有機化学ボルハルト・ショア」(訳、化学同人)など編集・分担を含め40編。