研究活動

テーマ

エナジーファイナンス,リスクマネジメント

キャッチフレーズ

ビジネスとアカデミアの融合を目指す

概要

エナジーファイナンス,リスクマネジメントという学際分野を題材とし,ビジネスとアカデミア双方の経験を軸に,その融合を試みている。エナジーファイナンスとは,エネルギー市場における将来のキャッシュフローを扱う分野で,欧米を中心としたエネルギー市場の自由化の進展に伴い,近年急速に注目を浴びてきている。文理融合の学際的領域であるエナジーファイナンスの理論的・実践的コンセプトを踏まえたうえで,エナジーファイナンスの実務への応用を行うと同時に,エナジーファイナンスにおける実務上の最先端問題に焦点を当て,実務で観察される現象をPh.D.研究レベルにまで昇華させていくことで,学術的貢献を行ってきた。リスクマネジメントとは,将来の不確実性をマネージする分野で,金融危機等によるリスクの拡大に伴い,近年その重要性が一層叫ばれてきている。リスク管理手法の基本的コンセプトを前提とし,リスクマネジメントを戦略的アクションに繋げる実践的方法と学術的な先端部分についても追及している。

研究のインパクト

ビジネスとアカデミアの融合を図ることで,現実社会の問題解決に向けて新たな視座を得ることが期待される。ビジネスで起こっている事象をアカデミアの脈絡で読み直しその内容を凝縮することで実務上の問題に新たな視点を得ることができ,学術的貢献が期待される。他方,アカデミアの知識をビジネスに展開することで実務上の問題に新たな解を得ることが可能となる。ビジネスは周りを巻き込むことで,あるアイディアを拡大しながら作業をしていくのに対し,逆の動きとなるのがアカデミアの作業で,自問自答しながら拡散された断片を纏め上げて凝縮していく。どちらも物事の本質を見抜くに足る深さを備えており,車の両輪のように互いを補完する関係としながら,両者のプロセスの質を高めるのが望ましいと考えている。



経歴

1995年京都大学 農学部 農業工学科卒業。1997年京都大学大学院 工学研究科 環境地球工学専攻 修士課程修了。1997年~2014年 電源開発株式会社。企業より派遣され,2003年一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 経営・金融専攻 修士課程および2006年一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 経営・金融専攻 博士後期課程修了。博士(経営)。Ph.D.取得で培った専門性を軸に,エネルギー取引におけるリスクマネジメントシステムの立ち上げなど,経営企画部・エネルギー業務部にて,地球温暖化戦略としてのカーボンリスクマネジメントならびに最適なエナジーポートフォリオ構築に向けたエネルギー取引業務等に従事した。最先端実務を着実に遂行すると同時に,エナジーファイナンス・リスクマネジメント分野でのパブリケーションを行うことで,ビジネスとアカデミアの融合を目指してきた。2014年より現職。Ph.D.を持ちグローバルな問題に対峙できる先端実務家の養成に取り組んでいる。



著書

主要論文として,"A supply and demand based volatility model for energy prices", Energy Economics, 2009, vol. 31, issue 5,"Financial Turmoil in Carbon Markets", The Journal of Alternative Investments, 2013, vol. 15, no. 3 など