行動経済学-経済学のパラダイムシフト | 京都大学ELP
京都大学エグゼクティブリーダーシッププログラム

行動経済学-経済学のパラダイムシフト

行動経済学による健康・医療行動変容分析

西村 周三 NISHIMURA Shuzo
医療経済研究機構所長 年金シニアプラン総合研究機構理事長 関西学院大学特任教授

講義概要

この講義は、行動経済学という新しい研究手法を用いて、われわれの社会的行動に、どのような「法則性」があるかを紹介する。まず、(1)経済学はこれまでの「合理的行動」を基礎にした人間分析から、人々の感情や心理の動きを取り込むものに変わってきた。脳科学の発展を踏まえて、この「行動経済学」の成果を紹介する。(2)私たちの日ごろの行動は、合理的側面と非合理的側面と両面からなる。(3)「健康に気をつける」、「医療機関を受診する」といった行動は、その結果が不確実であるという要因により、何が合理的行動で、何が非合理的行動かの識別が難しい。この分野の研究を、近年発展の著しい行動経済学の成果に基づき解明する。(4)ビッグデータの計算処理が容易になった時代でも、むやみやたらデータを収集すれば、多くのことが解明できるという幻想があるが、人々の行動の法則性を見抜かないと、ビッグデータ解析の成果の発展はおぼつかない。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

従来、自然科学の多くの成果は、「法則性」「再現性」の発見であると考えられてきた。これに対し社会科学では、人間行動の法則性を見出すのは難しいと考えられてきた。しかし近年自然学的法則とはやや精度が落ちるが、興味深い人間行動の法則性が明らかになっている。 他方で、多くのゲームのように、目標(エンドポイント)が明確であるものは、AIが人間を上回るようになってきた。しかしそもそも目標が明確でないようなゲームを設定した場合、AIはどのように役立つのだろうか?人々の日常行動には、目的が明確であるものとそうでないものがある。私たちの行動は、「人生ゲーム」のように目標が明確ではない。人々の健康・医療受診行動」でさえ、目的が明確であるように見えて、そうでないものも多い。 こういったパズルに応えることは、ビッグデータ・AI開発時代にきわめて重要であると考えている。

講師プロフィール

経歴

1945年 京都市生まれ。1969年 京都大学経済学部卒業、京都大学経済学部助教授、教授、京都大学副学長(国際交流・教育・学生担当)国立社会保障・人口問題研究所所長などを歴任。現在 厚生労働省・社会保障審議会会長、医療経済学会初代会長。専門:社会保障論、医療経済学。国際動脈硬化学会招待講演、国際がん学会招待講演および国内医療系学会などでの招待講演多数。

著書

『保険と年金の経済学』名古屋大学出版会(2000年)、『健康行動経済学』共著、日本評論社(2009年)、『地域包括ケアシステム』監修、編著、慶應義塾大学出版会(2013年)、『社会保障費用統計の理論と分析―事実に基づく政策論議のために』監修、編著、慶應義塾大学出版会(2013年)

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