第3期受講生インタビュー ④ | 京都大学ELP
京都大学エグゼクティブリーダーシッププログラム

第3期受講生インタビュー ④

ELPs受講生Interview

2017年7月22日 通信 管理職

粟野 プログラムの中で特に印象に残った講義を教えてください。

受講生 異なる観点で3つあります。一つ目は、新たな知識を得ることができ、気づきの多かった講義で、趙先生のAIと柴田先生の太陽の話です。私の会社もAIの導入を検討しており、現在、学んでいるところですが、一般的に「強いAI」と呼ばれる人間に近い領域には到底、到達できないと思っていました。AIは経験したことは学べますが、未経験のことには対応できないと考えていたからです。しかし、趙先生はそれを「乱択」というランダムに進む方向をまずは選ぶという方法で解決できると提起されました。その時は、そうきたかと思わず唸りましたね。明らかに自分が引いていた常識の線を大きく越えてきました。柴田先生の話は、太陽は遠いことに加え、他の惑星と違い、恒星なので近寄れないという状況下で、観測技術を駆使してここまで解明できたというそのスケールの大きさに感銘を受けました。また、太陽フレアのように太陽の挙動が地球に与える影響も改めて理解をすることができ、私たちは太陽に生かされているという感覚に変わるきっかけとなりました。
二つ目は、先生の能力に触れて圧倒された講義で、大石先生の憲法のお話です。大石氏先生の「伝える力」が素晴らしかった。憲法は難解な印象がありますが、大石先生は、具体的な事例を挙げ、相手のレベルを意識しながら、とても分かり易く話していただきました。正直今までこんなプレゼンテーションは聞いたことありませんでした。自分にとっては、理解し難いと思っていた講義内容が、すーっと心の中に入ってきた感じがしました。
そして三つ目は、研究者としての生き様を感じた高橋先生の講義です。研究者の方々は好きで研究をしているイメージでしたが、高橋先生からはナンバーワンになりたいという思いを強く感じました。一方で、幸島先生の講義の中で、お金に恵まれず研究を断念する研究者もたくさんいるという話をお聞きしました。日本は資源がない国なので、技術力で世界と勝負しないといけません。研究者の一つのことに深く興味を持ち、追求し続ける行動自体、私には出来ませんし、素晴らしい能力だと思っています。日本としてその研究者に最大限活躍してもらう環境を作ることが大切だということも痛感しました。

粟野 全体のプログラムとしてはいかがでしたでしょうか。

受講生 ELPを通して、考え方、目線が明らかに変わりました。普段会社にいると、どうしても自分の周りのことに目が行きがちになります。例えば、宇宙のことまでは考えが及びません。しかし、ELPで宇宙について視野を拡げたことで、私たちが住むこの宇宙、そして地球の奇跡、素晴らしさを理解し、この地球を存続していくためにはどうすべきかであったり、「生きる」ということ自体について考えるようになりました。また、ELPは、人としてどうあるべきかを考えるところだと思っています。そう考えることで最終的には仕事にも繋がると思っています。今、自分がやらなければいけないことは何なのか、長期的な視点、広い視野で見た時に、今までだったらこっちに行くところを、違う方向に行く選択肢も見えるようになりました。自分が仕事で決断することでも、自分たちの損得だけではなく、宇宙、地球、世界、日本としてどうなのかを必ず意識するようになってきました。

粟野 ELPで学んだことを今のお仕事に活かすことはできそうですか。

受講生 はい、宮野先生の講義で学んだことは早速活かしています。3つあって「徹底して深く考えること」「安易な言葉で議論を抽象化しないこと」「本音で話す」ことです。いずれも最近の日本人が忘れていることばかりです。今はこんなことを言う人はほとんどいないので、会社ではちょっと嫌なやつになっていますけど(笑)。現在、私は30代管理者のチューターをやっていますが、最近は優秀なメンバーであればあるほど、周囲の評価を気にし、冗長的な言葉を使い、綺麗に上手に結論をまとめる傾向が強いと感じていたところだったので、余計に言葉が胸に刺さりました。それからは、この3つのことを意識して、徹底して深い議論をするように促しています。「相手を完全否定しても問題ない」とも話しています。これからも、この姿勢は崩さずにやっていきたいと思います。

粟野 受講生同士の関係、コミュニケーションはいかがでしょうか。

受講生 そうですね。ポジション的に社内の人と話すことが多いので、色々な方と話しが出来たことはとても良かったです。仕事の内容や最近の話題、ご苦労されていることを聞くだけでも、世の中がどう動いているかという観点でとても参考になりました。またこういう場は、異分野融合を進められる機会にもなると思います。加えて、社内の関係とは異なり利害関係も無いので、本音で話せるということも良いことだと思いました。また、共有された皆のレポートを見て、今のままではダメだなと思ってスタンスを変えたりだとか、そういったことができ、切磋琢磨出来たと思っています。

粟野 最後にこれから受講される方々へメッセージをお願いします。

受講生 私もそうですが、会社から派遣されている方は、会社でどう活かせるかを第一に考えて講義を受けてしまいがちです。しかし、そうすると会社に関係することや、自分の興味あることだけが耳に入り、他の大事なことが右耳から左耳へ通り抜けてしまいます。会社でどう役立てるかではなく、人として、これからどう活かすのか、高い意識で最初から臨むべきだと思います。

粟野 会社のことは一旦置いておいて、純粋に学問と向き合うと言ってもいいでしょうか。

受講生 そうですね。自分が人としてどう動くべきか分かれば、会社で何ができるのか自ずと分かります。私はその順で考えるべきだと思っています。ELPは人生観が変わるプログラムです。得るものが大きい分、しんどいのはしんどいです。でも逃げないことが大事です。各講義後にレポートがありますが、単純な感想で終わるのではなく、自分ならどう考えるか、これからどう行動するか、ぜひ自分の考えを発信するようにしたほうが良いと思います。そうすることでもう一歩、学びを深めることができます。私も最初は、講義で聞いたことを、後で振り返るための「まとめ」のようなレポートを書いてしまっていましたが、仲間のレポートを読んで意識を改めさせられました。間違っていてもいいので自分の考えを書くことが大事ですね。

粟野 貴重なお話をありがとうございました。これからは、モデレーターとしても講義に参加いただけます。修了後も引き続き学びを深めていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

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