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Graduate student referral

大木 有 / 2019年入学生

所属 総合生存学館
専門 社会物理学/ネットワーク科学
研究室 ネットワーク社会研究会

自己紹介
私の研究対象である社会ネットワークは複雑系であると言われています.複雑系とは構成要素同士が相互に作用しているシステムのことで,ある部分のみを取り出しても,その関係性を理解することはできません.私たちの普段の社会関係においても,例えば,ある人が関係性を持っている両者は,その両者同士も関係性を持ちやすいといった性質が知られています.複雑系としての社会ネットワークを理解することは,社会関係からの孤立である社会的孤立や異なる属性を持つ人々同士の社会関係の分断である社会的分断などの社会課題がなぜ発生するのかを理解し,さらにはその発生を防ぐための社会ネットワークの構築の提案につながります.
従来のアンケート等による調査では社会ネットワークの全体像を知ることは難しい状態にありましたが,インターネットや携帯電話の発達より人々の社会関係についての大規模なデータが入手可能になっています.そのため,複雑系としての社会ネットワークを理解するために,私の専門とするネットワーク科学を中心とするデータサイエンスによるアプローチは有効であると考えます.一方で,データ解析や数理モデルといったデータサイエンスのツールで社会ネットワークに迫るための仮説構築には従来の社会科学が積み上げてきた知見や実際の人々の交わりの中での観察が欠かせません.思修館では社会ネットワークについての社会科学の知見や社会課題の発生する現場での経験を土台に,複雑系を解き明かすデータサイエンスの手法を用いて,社会ネットワークから発生する社会的孤立や社会的分断などの諸課題の発生メカニズムを理解し,解決するための研究に挑んでいきたいと考えています.

研究内容
①京都市内における観光客と市民の対面接触社会ネットワークの解析と相平衡モデル
近年,観光地への観光客の集中と混雑による問題であるオーバーツーリズムが発生している.京都市内でのオーバーツーリズムの現状を把握するために,京都市内の位置情報データを用いて観光客と市民の対面接触社会ネットワークを推定する.対面接触社会ネットワークにおいて観光客の集中現象が発生している部分を特定するために,ネットワークをコミュニティに分割し,それぞれの観光客集中度を定量的に評価する.結果として,いくつかのコミュニティで観光客の集中が発生している現状を定量的に把握できた.さらに,京都市内における観光客と市民は統計力学的相平衡状態にあることを明らかにすることで,両者の相互作用の性質の違いが集中現象の発生要因であることをモデルから明らかにする研究に取り組んでいる.

②ネットワークモデルに基づいた超高齢社会での社会的孤立および健康影響シミュレーション
世界的な高齢化の進展に伴って高齢者の社会的孤立が社会課題として顕在化している.また社会的孤立は人々の健康状態に影響を与えることが指摘されているため,更なる高齢化の進展の中で発生する社会的孤立や孤立化による健康への影響を予測し,その対策を提案する必要がある.本研究では,社会ネットワークからの孤立のネットワーク解析による定量的な評価と社会的孤立の発生メカニズムを説明するネットワークモデルの開発を行う.さらに,ネットワークモデルに基づいた将来的な社会的孤立の発生や孤立化による健康への影響予測のシミュレーションを可能にし,シミュレーションに基づいた対応策を提示する.

研究実績
Ohki, Y., Ikeda, Y., Iyetomi, H. Design of Isolation Index. in Big Data Analysis on Community Formation and Isolation in Globalized Society – Sustainability and Flow of Commodities, Money, and Human –. (eds. Ikeda, Y., Iyetomi, H., Mizuno, T.) (Springer, forthcoming).
大木 有,「第8章:ボックス6 Design of Isolation Index」,池田裕一(総編集),京都大学総合生存学研究会(著),『実践する総合生存学』(京都大学学術出版会, 近刊)

課外活動
四條畷市役所 長期インターンシップ(2018年11月-2019年9月)
Beautiful Light Technology Corporation(台湾) 長期インターンシップ(2017年3月-2018年1月)

賞歴
大木 有,公益財団法人小野奨学会 課外活動優秀者表彰(2019年10月)
大木 有,日本船舶海洋工学会 関西支部支部長賞(奨励)受賞(2018年12月)

記事紹介
大阪大学COデザインセンターによるインタビュー記事が公開されました.(2019年3月)
http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/co/2019/000657.php
京都大学新聞社によるインタビュー記事が公開されました.(2019年7月)
http://www.kyoto-up.org/archives/2870

連絡先
ohki.yu.65a @ st.kyoto-u.ac.jp