年頭のご挨拶

京都大学大学院総合生存学館(思修館)
学館長 積山 薫
2022年1月

新年おめでとうございます。昨年4月に学館長を拝命し、これまでとはまた違う気持ちで新年を迎えています。皆様は、新しい年をどのようにお迎えでしょうか。
 
昨年は、7月下旬から開催された東京オリンピックと重なるように、新型コロナウィルス感染症拡大の第5波に見舞われました。しかし、ワクチンがかなり行き渡った秋にはそれも収まり、京都大学では10月の第4週から対面授業が再開されました。久しぶりに対面授業をする際には、オンライン授業に慣れ切った行動パターンの調整に少しエネルギーが必要でしたが、対面授業はやはり良いですね。第一に、学生の反応がよく分かるし、また、講義に大きな声を出して身振りまで交えるので、自らの健康にも良いと感じます。オミクロン変異株の出現で、状況は不透明になっていますが、諸外国と比べて今の日本はかなり良い状況です。願わくば、この状況が続いてほしいものです。
 
コロナ禍で不自由な中でも、国内については4月以降、4年生らは現地での武者修行に行けており、「国立研究開発法人産業技術総合研究所・福島再生可能エネルギー研究所」や「公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)北九州アーバンセンター」でインターンシップをした学生がいます。海外についてはまだオンラインのみですが、それぞれに工夫して時差を克服し、「OECD Centre for Educational Research and Innovation」、「OECD International Migration Division in the Directorate for Employment, Labour and Social Affairs」、「UNESCO Headquarters, Bureau of Human Resources Management」といった国際機関でのインターンシップをおこなっています。その他にも、現在オンラインでインターン中の学生がおり、これから海外の武者修行先に赴こうとしている学生もいます。渡航できるかどうか予断を許しませんが、希望が叶うことを祈ります。
 
一方、コロナ禍の入国制限のために、まだ来日できていない学生がいることには、胸を痛めています。1年生の2人のみならず、2年生にも1人います。国費留学生以外は、来日することが難しい状況が続いているのです。今年4月の新入生はいつ来日できるでしょうか。
 
そのような心配はありつつも、昨年は、数名の新しい教員を迎えることができました。2018年12月から特定助教を務めていただいていた水本憲治先生には、昨年9月に専任の准教授として着任していただけました。また、JICAからは鍋田肇特定教授(高島宏明先生の後任)を、日本銀行からは石賀和義特定教授(武田英俊先生の後任)をお迎えすることができました。それぞれに、新しい風を吹き込んでいただいていると感じます。
 
総合生存学館は、2013年の設立以来、9年目を終えようとしています。5年一貫制博士課程として、2018年3月から修了生を輩出し始め、これまで4期に渡り22名の博士号(総合学術)取得者を社会に送り出してきました。この3月には、また新たな修了生が生まれるでしょう。これまでの修了生は、大学、研究機関、国際機関、企業、官公庁などに就職し、また一般社団法人や会社を設立した人もいます。昨年おこなった修了生調査では、就職先においてほとんどの人が比較的短期間に指導的ポジションについていることがわかりました。また、彼らの上司への調査でも、先進的な企業ほど本学館の修了生に高い価値を見出してくださっていることがわかり、学館のカリキュラムによって輩出される人材はこれからの時代にますます求められると意を強くしたところです。従来とは全く違う技術や価値観が席巻するであろう未来に対して、どのように備え、どのように適応していくか、そうした創造的な戦略を生み出すことのできる人材が、1人でも多く巣立つことを願います。