年頭のご挨拶

京都大学大学院総合生存学館(思修館)
学館長 寶  馨
2021年1月

新年おめでとうございます。学館長を拝命してから4回目のお正月となりました。昨年は、全く予想もしなかった新型コロナウイルス感染症の拡散で、世界中の人々が悩まされました。我が国では、それが最高潮を迎える深刻な事態になってきています。まさに疾病災害、感染症災害と言うべき状況です。不幸にも命を亡くされた方々には謹んでお悔やみ申し上げます。また、感染症による障害に悩まされている方々には心よりお見舞い申し上げます。そして、まだ感染していない人々は、新しい日常を耐え忍びながらも健康で明るい毎日を過ごしていただき、より良い2021年としていただきたく存じます。
 
さて、総合生存学館は、5年一貫制の博士課程大学院として2013年4月に創設されてから約8年経過します。この間に15名の博士(総合学術)を輩出しました。皆それぞれ、民間会社、外資系企業、研究機関などに職を得て、グローバルリーダーの卵として活躍しています。3月にはさらに数人の在学生が博士を授与される見込みです。人類の生存問題を扱う総合生存学館が、パンデミックのような深刻な問題にも何らかの形で寄与することを願い、然るべき活動を展開していきたいと決意を新たにしています。
 
学館長に就任しました当初は、毎年3億円ほどの支援を受けていた博士課程教育リーディングプログラム「京都大学大学院思修館」(2011〜2017年度)の最終年度でありました。2018年3月に同プログラムの支援期間が終了しましたので、2018年4月からは学生への学修奨励金は打ち切り、海外渡航などにかかる経費を縮減するなどの措置を講じましたが、思修館プログラムとして必要な学生の履修活動を支援するためには、大学から配分される通常の校費だけでは足りず、思修館基金から補填して会計処理をして参りました。思修館基金へのご寄附をいただいていたお陰でこの3年間学館の運営を円滑に進めることができました。寄附者の皆様方に厚く御礼申し上げる次第でございます。
 
2019年5月からは凸版印刷株式会社との共同による「アートイノベーション産学共同講座」(担当:土佐尚子特定教授)、2020年5月からはJX金属株式会社との「SDGs実現に向けた地球社会レジリエンス共同講座」(担当:橋本道雄特定教授)を開設いたしました。住友林業株式会社との共同研究(担当:土井隆雄特定教授、山敷庸亮教授)を2020年度から開始しました。これは、木材で人工衛星を作るという画期的な試みですが、英国のBBC放送やThe Times 紙で年末から年始早々にかけて報道されるなど、海外からも注目を集めています。2020年9月には産学連携、人材育成、社会貢献活動を総合生存学館として組織的に実践していくために、「ソーシャルイノベーションセンター」を発足させました。グローバル人材育成の大学院教育を中心に運営してまいりました総合生存学館が、さらにその活動内容をダイナミックに充実させているところであります。10月には、オーストラリアのモナッシュ大学から齋藤敬教授、国際高等教育院から長山浩章教授、そしてこの1月より産官学連携本部から桑島修一郎特定教授を迎えました。今後のさらなる展開にご期待ください。
 
なお、新年度になります4月からは積山薫教授が学館長を務めることに決まりました。女性ならこその視点を加味して学館の運営に当たってくださるものと存じます。引き続きよろしく総合生存学館へのご支援をお願い申し上げます。
 
学館長としてこれまでの4年間に皆様から賜りました数々のご支援・ご協力に対しまして、心より御礼申し上げます。