京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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遊聞会便り(第17号)

河合江理子(現職員)
総合生存学館(思修館)教授

今までグローバルコミュニケーション(I、II)の授業を提供しておりましたが、今年の前期にブルーオーシャン・シフト戦略という新しい授業を提供することにいたしました。皆様も「ブルー・オーシャン戦略」という名前を聞いたことがあるかもしれません。私の母校のINSEADのProf. Chan KimとProf. Renee Mauborgneがレッド・オーシャン(競争の激しい領域)を避けて、競争のない未開拓の市場を作ろうという戦略を提案して、ビジネス書でベストセラーになりました。既存の市場でパイを奪いあうのではなく、あらゆる分析手法をもちいて、未開拓の市場の発見や、新たな価値の創造をめざします。Kim教授から日本が再びイノベーションでリーダーシップを取っていくには、是非この考えを日本で広めたいという要請を受けて、新授業を開講することになりました。幸いやる気のある優秀な学生さんが受講してくださったので、刺激のある授業になりました。(最初の写真がProfessor Kimとの写真です)。
 
しかし、いくらしっかりと戦略をたてても、同じ方向をめざして取り組む仲間なくして、達成することは難しいので、戦略論だけではなく、リーダーシップ育成プログラムも加えました。スイスのビジネススクールIMDで教鞭をとっている、私が大変尊敬しているProf. George Kohlrieserのリーダーシップ育成メソッドを取り入れました。 Kohlrieser教授はIMDで企業の経営者を相手にリーダーシップを教えており、私も参加しましたが、心理学を取り入れた5日間のセミナーでセミナーの最初と最後で 別人物と思えるようにほどまで成長した多くの参加者に会い、私自身もコーチと共に、自分の人生を振り返り、自分のリーダーシップの強み、弱み、人生の目標などを再確認することができました。IMDのセミナーでは、少人数のグループに分かれ、グルーブごとにコーチがついて、そこでの議論、自己分析を通して、自分を知り、自分をリードし組織をリードすることが出来るようになります。自分をリードできずに、どうしてグループをリードすることが出来るでしょうか?私の授業は国際機関を創設しその事務局長を15年務めた東京大学客員教授の河合美宏先生に講師になっていただき、彼の経験、リーダーシップにも学生に触れることができて良かったと思います。この授業については京都大学広報誌の紅萠で詳しく取材され、今年の秋号に掲載されますのでご興味があればご覧になってください。将来グローバルリーダーを育成する思修館でリーダーシップの授業を持てて大変良かったと思います。(2番目の写真がProf. Kohlrieserと河合美宏先生との写真)
 
国際教育セミナーでは欧州開発銀行(EBRD)の総裁を講師に迎えて、非常に活発なセミナーとなりました。総裁は普段学生とお話しすることはないとのことで、最初は30分の予定でしたが、質疑応答を交えて、90分ほどになりました。普通では聞けない裏話を聞けてとても有意義な時間となりました。
 
英国「エコノミスト」の元編集長のビル・エモット 氏が書かれた「日本の未来は女性が決める」(日本経済新聞社2019年6月)という本で、日本の女性22名が選ばれて私も光栄にも推薦を受けインタビュー記事が載っています。「男女のバランスが取れた日本に本当に変化すれば、日本女性の力が、日本に輝かしい未来を約束する」と、本の表紙にコメントを書かれていますが、女性だけではなく、Diversityが尊重される、様々な形で活躍できる日本社会になって欲しいと願っています。
 
2019年09月28日


 

 

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