京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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新年度のご挨拶

新しい時代の幕開けにあたって

京都大学大学院総合生存学館(思修館)
学館長 寶  馨 

新元号が「令和」(れいわ)に決まりました。いよいよ新しい時代の幕開けです。この記念すべき年に皆様のさらなる飛躍を祈念いたします。
 
総合生存学館という新しい大学院が2013年(平成25年)に設立されて、6年経過しました。一昨年度5人、昨年度3人の博士(総合学術)の学位を授与しました。今年度は、さらに数名の学位授与者が出ることを期待しています。在学生諸君の奮闘、ならびに教職員の皆様の適時的確なサポートをお願いいたします。

平成最後の3月25日の学館学位授与式において、3人の博士学生への餞(はなむけ)として、「胸中の温気(うんき)」という言葉を贈りました。新入生、在学生にも参考になると思いますので、その意味を思修館流に喩えてここにも記します。
 
博士課程教育リーディングプログラム『京都大学大学院思修館』(思修館プログラム)は、高い専門性をもつとともに、幅広い知識・経験と俯瞰力を備えたグローバルリーダーを育成するプログラムです。「育成する」と書きましたが、実際には、学生諸君が「自ら育つ」場を提供するプログラムです。

先人が確立した法則、理論や手法を学び実践することは、なかなか難しいものです。それはすでに確立されたものですから、正しい理屈や方法であり、世の中の問題を解決する基礎となるものに違いありません。世の中の役に立つものであれば、それは「大道」といってよいでしょう。水が大地を潤し流れていくように、その大道は社会の隅々にまで行きわたり滞ることなく流れていくべきものです。しかしながら、実際にはそれは難しいことです。
 
学生諸君が、思修館プログラムで思い修める学業は、本当に身についたものでなければなりません。しかしながら、確立された教えは、どのように優れたものであれ、氷のように固まってしまったものであるとも言え、それを理解し実践するのは容易なことではありません。胸中に秘めた熱い心(温気)でその氷を溶かし、自分のものにして水のように世の中に広めていかねばならない、ということです。
 
思修館(総合生存学館)で学ぶ皆さんは、まずは、すでに入学前に色々な知識を持っていることでしょう。「聞慧」(人から聞いて教わった智慧)の段階です。学年が進むと自ら考えた理論や方法が出来上がってくるはずです。これが「思慧」(自ら考え抜いた智慧)の段階です。「聞慧」は果たして身についた応用のできるものになっているでしょうか。「思慧」は水のように広く世の中を潤し流れていくものとなっているでしょうか。
 
自分が得たものを、温気(熱情)をもって実際に応用してくことが必要です。すなわち「修慧」(実践の智慧)の域に高めていくのです。「胸中の温気」という二宮尊徳の教えはこのことを教えてくれていると考えます。
 
令和の新しい時代に、情熱を持って学問に取り組んでくれることを願っています。

京都大学大学院 総合生存学館

〒606-8306
京都市左京区吉田中阿達町1 東一条館1階
TEL 075-762-2001 / FAX 075-762-2277
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