遊聞会便り(第8号)
長沼祥太郎(H29年度修了生)
京都大学高等教育研究開発推進センター特定研究員
思い返してみると、5年間の思修館ライフは、自分のとった選択肢が間違ってなかったことを証明するための奮闘の時期でもあり、辛い時も多々あった。先輩の山脇さんや白石さん、同期の平野やキーリーをはじめとする非常に優秀な人々に囲まれ、本人たちに直接言ったことはないが、中々に息苦しい時もあった(笑)。が、後悔は全くない。この大学院に入れたことを、今は心から誇りに思う。そして、博士号取得まで最後まで一緒に駆け抜けてくれた同期には感謝の言葉しかない。あまり「友達」というような間柄ではないけれど、一生の「同志」なのだと思う。
さて、現在の話を。現在は京都大学高等教育研究開発推進センターという機関で、教育に関連する様々な活動を行なっている。未来の大学教育を担う人材の育成、各研究科で実施されている新カリキュラムの効果検証および提言、そして世界規模で拡大している新しい大学教育のムーブメントであるMOOC(大規模オープンオンライン講義)の評価など、職務内容は多岐にわたる。そのどれもが専門的な知識を活用できるものであり、非常に充実した日々を送っていると感じている。1つ1つの業務が、実際にその教育活動を行なっている教育者との関わりを含むものであり、一緒に改善を目指して考えをめぐらせるプロセスは、専門的知識を超えるところも多々あるため、非常にチャレンジングで面白い。
2019年1月からは、生まれ育った故郷、福岡に戻り、九州大学での勤務が開始する。教育・研究という一般的な大学教員の役割に加えて、九州大学の教育改善に帰するような実務を担うこととなっており、まさに私が行いたいと望んでいた業務である。非常にワクワクしている。
世界大学ランキングなどが紙面をにぎわせているように、大学教育が国際的な競争時代に入っている。このような状況の中で、思修館で博士号をとった自分には、教育のために何ができるだろうか。まさにこれからが、「挑戦」である。
2018年11月16日
大学院生のための教育実践講座2018
ー大学でどう教えるかー
にて、総合統括を務める。