連絡先

• 電話　　: 075-762-2126
• メール　: deroche.marchenri.6u[at]kyoto-u.ac.jp
• オフィス: 京都大学東一条館


研究分野

  • 哲学
  • 宗教学
  • 仏教学
  • チベット・ヒマラヤ地域研究

研究テーマ

  • 比較思想から見た智慧の概念
  • マインドフルネスに基づいた介入法の哲学的人間学
  • 仏教における心の哲学、仏教心理学、仏教瞑想論
  • チベット仏教のニンマ派における「念」：経典、注解の文献研究と自覚の哲学（基礎研究(C)(一般) 　課題番号23K00048　令和5年度―令和9年度）

プロフィール

　フランス出身です。今なお息づく仏教の伝統、特にチベットとヒマラヤ地域を中心に研究しており、広範囲な現地調査も行っています。また、日本における仏教の伝統にも注目しており、2008年からは日本に在住しています。社会人類学において学士号と修士号（ボルドー大学、副専攻科目は哲学）を取得し、チベット言語文化において学士号（フランス国立東洋言語文化研究所、INALCO、パリ）を取得しました。その後、宗教学・東洋学において専門研究過程（DEA）を修了し、博士号（2011、高等研究実習院、ソルボンヌEPHE、パリ）を取得しました。2008年から2013年までは、文部科学省国費留学生として京都大学大学院文学研究科仏教学専修に在籍しました。書籍として出版された博士論文『Une quête tibétaine de la sagesse: Prajñāraśmi (1518-1584) et l’attitude impartiale (ris med)』では、チベットにおける異なる宗派間の普遍的統一をテーマとし、インド・チベット系統の学問的釈儀やヨーガ行法に関する折衷的な著作を、伝統的な学習規範である三段階の智慧「聞・思・修」の分析を交えて研究しました。2013年、京都大学白眉センターにて特任助教に就任し、チベット仏教の最高哲学と称されるゾクチェンの心の哲学の研究を中心に行いました。
　2015年に京都大学総合生存学館（思修館）の哲学・人文科学分野の准教授に就任しました。思修館における私の貢献としては、人文学の古典 と心理学・医学の科学的知見を、「生き方としての哲学」（ピエル・アド）と特に仏教哲学の立場から、マインドフルネスの概念と実践において橋渡しすることを志向しています。これらは仏教に起源を有しますが、この数十年間、科学的な研究がなされてきた中で、革新的な （したがって時折疑念も残る）苦悩の軽減と人類の繁栄を向上させるための社会実装を興隆させてきました。この目的との関係下で、私はMind and Life Institute（米国）のコラボレーター、そしてその後フェローを務めてきました。総合生存学館では、しなやかな強靭さを有し、倫理的で、持続可能な生き方を追求していくべく、マインドフルリビング研究会を監修しています。現在は、マインドフルネスに関する2つの連関する著書執筆に注力しており、1つは人類学的な哲学に基づくマインドフルネスに関する随筆、もう１つはチベット仏教ニンマ派とゾクチェンの教えの偉大な師が説いた「念」に関する仏教学専門書です。
　総合生存学館の学際性に鑑み、学生は私と、たとえば仏教学や日本哲学、教育、心理学といったマインドフルネスへの多様かつ補完的な視点を有する副指導教員とともに研究を進めていきます。

主な研究業績

単著

- Deroche, M.-H. 2023. Une quête tibétaine de la sagesse: Prajñāraśmi (1518-1584) et l’attitude impartiale (ris med). Louvain: Brepols Publishers, Collection des Hautes Etudes, Section des sciences religieuses. 724 pages. ISBN: 978-2-503-60337-7

共編著

- Deroche, M.-H. (ed.). 2023. Study, Reflection, and Cultivation: Integrative Paths to Wisdom from Buddhist and Comparative Perspectives, Special Issue of the Journal Religions.

原著論文

- Deroche, M.-H. 2022. “Ethos of the Great Perfection: Continual Mindfulness According to Patrul’s Foundational Manual” Journal of Buddhist Ethics 29, pp. 177-204. ISSN 1076-9005
- Deroche, M-H., and Sheehy, M. 2022. “The Distinctive Mindfulness of Dzogchen: Jigme Lingpa’s Advice on Meta-Awareness and Nondual Meditation.” Religions 13, no. 7: 573, pp. 1-30. https://doi.org/10.3390/rel13070573
- Deroche, M.-H. 2021. “Living Mindfully Through Crisis: Searching for Life Advice in the “Philosophy-Medicine” of Buddhism.” Eidos. A Journal for Philosophy of Culture 5, no. 1, pp. 50-69. https://doi.org/10.14394/eidos.jpc.2021.0004
- Deroche M.-H. 2021. Mindful Wisdom: The Path Integrating Memory, Judgment, and Attention. Asian Philosophy, 31:1, pp. 19-32, DOI: 10.1080/09552367.2021.1875610
- Deroche, M.-H. 2021. The Conversion of Attention: Mindfulness in Classical Dzogchen. Philosophy East and West. 71, no. 4: pp. 872-896, DOI: 10.1353/pew.2021.0060

京都大学における講義内容

【於　総合生存学館(思修館)】
  • 1001000 総合生存学概論　（哲学・人文学担当）
  • H139001 京都学派の伝統と可能性  （東洋学・仏教学担当）
  • 2014000/M111001 心の哲学――東洋と西洋の間  
  • 2017000/M112001 アジア文明を横断した仏教史
【於　文学部・文学研究科】
  • 1653005/1853001/1653006/1853002 インド古典学・仏教学フランス語文献の講読
  • 1831007 チベット仏教瞑想論

略歴と研究業績へのリンク


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