京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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ニュース 総合生存学ミニワークショップ 国際開発研究会主催「ICTは人類社会の生存と未来開拓に資するか」を開催しました。

        ▼内藤智之JICA国際協力専門員

 

講師を囲んで▲        

▲講演の様子

2019年11月25日(月)、総合生存学館国際開発研究会では、内藤智之 国際協力機構(JICA)国際協力専門員/シニアアドバイザー(ICT・イノベーション分野)を講師に招き、総合生存学ミニワークショップを開催しました。
 
はじめに、内藤国際協力専門員が「ICTは人類社会の生存と未来開拓に資するか」という題目で講演しました。「人類社会の生存と未来開拓」にもつながる国際目標であるSDGsを対象として取り上げ、SDGsの「だれも取り残さない」という目標は大きなチャレンジであり、これまでの通常の取組みで達成することはできず、情報通信技術(ICT)を利活用することにより創出されるイノベーションによる付加価値増大への貢献が不可欠であること、地域的にはアフリカは巨大な開発余地といまだ若年人口の割合が多く、開発に向けた大きな課題を抱える一方、近年一定の経済成長、インフラ整備も見られ、グーグルなど巨大ICT企業が同大陸への積極的投資を進めていること、また、ルワンダのZipline社によるドローンを活用した輸血用血液の輸送サービスなど、革新的なスタートアップ事業も始まっており、社会問題を解決する大きな可能性を示していること、ただし、デジタル・エコノミーはデジタル・デバイド(格差)が広がる危険性や人々がつながりを確保するために巨額の投資資金を必要とするなどの留意すべき面も有しており、デジタル・トランスフォーメーションがSDGsの達成や人類の生存に本当に大きく貢献し得るのか、貢献を追求するためには何が必要とされるのか、について真剣に考える必要がある、旨の問題提起をしました。
 
出席者からは、現在の途上国にみられる豊かな人間関係を崩さずにデジタル技術を活用できるようにならないか、将来の理想とする人類社会をどう描くかによってICTの役割も変わってくるのではないか、デジタル・イノベーションが画一的な世界を招来させてしまうのではないか、などの意見が出され、現在の常時オンラインの生活の中でも意識的にオフラインになることの意義や、各国のローカルな言語や文化を尊重したデジタル・プラットフォームやコンテンツの重要性など、ICT・イノベーションのあり方を問う議論が交わされました。デジタル・エコノミーの可能性と危うさを改めて確認し、将来の社会を考えるワークショップとなりました。

京都大学大学院 総合生存学館

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