京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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ニュース 再生可能エネルギーの労働者の人権への影響を示した世界初の論文が、京大・九大・ハーバード大学の共同研究として出版されました。

【概要】
太陽光・風力といった再生可能エネルギーは地球環境に優しいエネルギー源として世界中で開発が進んでいます。しかしながら、こうしたエネルギー源は果たして人間にも優しいのでしょうか?再生可能エネルギーは労働集約的なエネルギーであり、特に労働環境の悪い発展途上国においては、発電にかかる労働者の人権侵害が心配されます。
こうした背景から、京都大学・武田秀太郎特任助教、櫻井繁樹教授らのチームは、九州大学・馬奈木俊介教授、キーリー アレクサンダー 竜太特任助教、ハーバード大学・キャサリン・ベノア・ノリス講師らと共同で、社会LCA(Social LCA)という手法を用い再生可能エネルギーの労働者の人権への影響分析を実施しました。試算の結果、太陽光発電は単位発電量あたりのサプライチェーンにおける労働者の人権侵害が現状の発電源のおおよそ2倍に上る事が示唆されました。これは再生可能エネルギーのサプライチェーン労働者への影響を包括的に試算した世界で初めての結果であり、成果はSustainability誌において3月5日に出版されました。
 
今回の研究はJICAプロジェクト研究「途上国における持続可能な再生可能エネルギー開発にかかる社会経済研究」の一環として、ASEAN Centre for Energy提供のデータに基づき、日米共同研究により実施されたものです。

 

図 マレーシアにおける再生可能エネルギーの労働者への悪影響試算

 

【論文題名】
Are Renewables as Friendly to Humans as to the Environment?: A Social Life Cycle Assessment of Renewable Electricity
 
【論文誌】
Sustainability
 
【URL】
https://www.mdpi.com/2071-1050/11/5/1370

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