京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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ニュース 第9回思修館・卓越セミナーを開催しました。

    【左】ゴメズ博士【中央】川口博士【右】質疑応答の様子

  
 

2018年11月27日(火)、京都大学東一条館大講義室(201)にて、ゴメズ・オスカル博士(立命館アジア太平洋大学)と川口智恵博士(JICA 研究所)を講師にお招きし、第9回思修館・卓越セミナー「人道危機対応における「切れ目のない支援」 ~紛争と自然災害の比較研究~」を開催しました。
 
まず、ゴメズ博士から、災害対応における人道と開発についてご講演をいただきました。水害などの災害は、多くの場所で毎年のように発生します。このような災害管理の実態を理解するには、対応のフェイズに関する既存の線形モデルでは不十分であり、これに代わる非線形モデルが必要であることが説明されました。その非線形モデルを用いた、1998年のHurricane Mitchに関するホンジュラスでの災害管理のケーススタディから、被災地住民の当事者意識の必要性、資金活用の柔軟性、防災活動を災害管理に組み込むことの難しさなどが指摘されました。
 
次に、川口博士から、紛争対応における人道と開発についてご講演をいただきました。災害対応で紹介された非線形モデルは、災害だけでなく紛争にも適用できる一般的な枠組みです。線形モデルでは人道アクターと開発アクターは独立に活動できるが、紛争対応の実態を説明できる非線形モデルでは人道アクターと開発アクターの間に相互作用が生ずることが指摘されました。このような理解をもとにして、南スーダンを中心とした90年代以降の危機対応について、米国、EU、日本の支援アプローチの特徴と違いが明確に描き出されました。
 
最後に、大変貴重なご講演をいただいたゴメズ博士と川口博士に感謝の意を表する拍手でセミナーを締めくくりました。参加いただいた学生や教員の皆様にも敬意を表します。

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