京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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ニュース 修了生の白石晃將さんが「博士課程教育リーディングプログラムフォーラム2017」の学生企画に登壇しました。

10月21日に開催された「博士課程教育リーディングプログラムフォーラム2017」において、名古屋大学・PhDプロフェッショナル登龍門の学生有志主催の『はかせだものみんなちがってみんないい〜自分のキャリアを切り開くための「意思決定」のヒント〜』が実施されました。
 
PhDプロフェッショナル登龍門を履修する近藤菜月さんをモデレーターとする同企画には、思修館プログラム第一期生であり、現在、外務省に勤務する白石晃將さんを含め4名のリーディングプログラム修了生がパネリストとして登壇し、大学院生、大学教職員を含む約100名の参加者とともに、リーディングプログラム履修生が「新しいタイプのキャリア」を切り拓くためのヒントを探りました。
 
今回は、同企画が学生企画であることから、在学生による当日のレポートと在学生と修了生によるインタビューをお送りします。

 

 

◆在学生からのレポート◆
当日は、第一部:趣旨説明、第二部:各登壇者の進路形成ストーリー紹介及び第三部:全体討論の3部構成で議論が行われました。
 
第二部では、白石さんは、農学研究科にて微生物学・細胞生物学を専攻したこと、白石さん自身にとっての思修館の大きな魅力の一つは海外武者修行にあること、また、現在は外務省にて、食料・エネルギー・鉱物資源の安全保障に携わる業務を行っていることを自己紹介として話しました。進路形成においては、専門研究及び思修館での各種プログラムをとおして、将来の自分の理想像や掲げたいビジョン、得意・不得意分野、卒業後のキャリアパスなどについて徐々に明確化したと述べました。「自分自身が未知の自然現象を探求し、ひらめき、大発見をするよりも、既にタネとして存在する事例・案件を改善し、発展させる方が得意なタイプ」であることを自覚し、「これから先、常に微生物と向き合っているのではなく、人や国のために働いていることを強く実感できる場所にて働きたい」「自分にしかできないこと、最も輝けることが出来る場所で働きたい」という想いを抱いたのは3年次であったことも紹介しました。
 
その後行われたモデレーターとの対話において、白石さんは、自身が既にタネとして存在する事例・案件を改善し、発展させる方が得意なタイプであると自覚したきっかけや自分の強みを生かすイメージについて説明しました。3年次に参加したHOPEミーティング(ノーベル賞受賞者との対談会)において知のフロンティアを切り開く研究者と議論をしたこと、そして、自分の研究分野において学生研究会を設立したことが大きなきっかけとなり、人や国のために働いていることを強く実感できる仕事に就きたいと感じたと話しました。また、モデレーターから、自分にしかできないことについて、自分の強みは何かと問われると、白石さんは、1)周囲を巻き込む力、2)コミュニケーションにおける傾聴力、3)管理能力の3点であろうと回答しました。そして、4、5年次においては、海外武者修行及びプロジェクトベースリサーチをとおして、白石さん自身の強みを再認識し、近い将来、国際機関で専門家として働くことを見据えつつ、外務省をファーストキャリアとして選択したと説明しました。
 
第三部では、最初にフロアとパネリストとの自由討議が行われ、フロアから挙げられたいくつかの質問に対し、パネリストが自らの経験や想いを語りました。将来の夢について問われた白石さんは、高い責任感や使命感を感じられる場所において、専門性や強みを生かしたい、その一つは、国連食糧農業機関(FAO)の専門官として世界の食料問題解決に貢献することであると述べました。また、リーディングプログラムを履修していない学生が、パネリストと同様に希望のポストを得て、理想とするキャリアパスを叶えるためには在学中に何をすれば良いか、という質問に対して、白石さんからは、自ら夢に近づく、そして叶えるためのきっかけを探すことが重要であり、大学には種々の機会や自分の希望を叶えるためのプログラムが数多く提供されていると説明しました。さらに、これまでの挫折経験やその克服法について質問されると、白石さん自身の大学受験失敗による経験を例に挙げ、重要なことは、挫折や失敗をした機会をポジティブに捉え、挽回する過程で多くを学び、成長することであると考えていると答えました。
 
フロアとの自由討議の後、参加者は、1)進路選択における博士号、専門性をどう捉えるか、2)リーディングプログラムについてどう考えるかという二つの議題について議論を行いました。一点目の議題に対し、白石さんは、各専門分野から与えられる博士号とは、課題設定能力、課題解決のための深い思考力及び分析力、そしてそれを評価できる一定の能力を証明されるものであり、博士号取得者は、専門分野を超える問題・課題に対しても一定の回答を導き出せなくてはならないと主張しました。二点目に対しては、リーディングプログラムの履修からは幅広い知見が得られ、物事を俯瞰的に見る力が向上した、各種プログラムから得られた知識や引き出しの多さは、現職においても大変役立っていると話しました。

 
 
 

◆修了生へのインタビュー◆
今回の登壇について、後日、白石さんにお話を伺ってみました。
 
今回の企画に登壇することに際し、どのような思いや伝えたいメッセージがありましたか?
大きく三点あります。一点目は、参加者全員に対し、リーディングプログラムの履修をとおして向上したリーダーシップ力、俯瞰力や知識の幅の広がり、そして高い使命感や国際性が、現在の職務にどのように活きているのかをしっかり伝えることです。当日は、思修館プログラムによって得られた能力があるからこそ、専門分野と異なる「外務省」での様々な業務にも柔軟かつ迅速に対応出来ていることをお話ししました。二点目は、参加学生に対し、自分自身を含め、我々がこれからの日本を背負って立つ人材にならなくてはいけないということです。現職が官僚であるから故、その思いを強く持っているのかもしれませんが、各分野における世界情勢が大きく変化する現在、我々の世代が最前線に立って日本を守っていかなくてはいけません。三点目は、参加学生に対し、感謝することを忘れないでほしいということです。様々なプログラムを履修できること、金銭的サポートが得られることは、プログラムに合格したのだから当然かもしれませんが、その一つ一つの機会を提供するには多くの人の努力と時間がかけられていることを忘れてはいけないと思います。常に人に感謝する気持ちを持ち、得られる機会を最大限活用し、多くを学んでほしいと思います。
 
今回の企画で他の登壇者やフロアとのディスカッションを通して感じたことがあれば教えてください。
リーディングプログラムから得られる能力、知識及び経験は、履修生によって大きく異なり、各履修生が、それぞれのプログラム活用法を作り上げねばならないということが一点目です。同じプログラムを履修していれば、得られる機会も、面会可能な専門家も似通ってくるかもしれませんが、それぞれの感じ方や吸収度合いは学生により異なります。この観点から、履修生それぞれが「リーディングプログラム取扱説明書」を作成し、数歩進むたびに修正し、改訂していく必要があるように思います。登壇した私を含めて4名もそれぞれに自分自身の活用法を見つけ、目標・目的に合う形でリーディングプログラムを‘利用’していたと思います。二点目は、リーディング修了生の体験談は、各大学や履修を検討している学生、またこれから大学に入学しようとしている高校生に伝える必要があるということです。会議の参加により、教職員及び学生、評価委員の先生方など、様々な方面から質問をいただき、リーディングプログラムが良くも悪くも大いに注目され、期待されていることを感じました。自分自身の経験をより多くの方にお伝えできるよう、講演会のような機会を積極的に作るとともに、リーディング修了生の声をまとめた資料を出版する等、情報発信に努めたいと思います。
 
最後に学館生や受験を検討している方々に向けてコメントをお願いします。
5年間をとおして、ビジョンの持ち方、目標・課題設定の方法、それを達成するための準備や努力等、多くを学びました。私自身は、思修館プログラムの履修により、リーダーシップ力や俯瞰力、国際性等が大きく向上したと感じております。成長する機会を与えてくれた同プログラムや教職員、仲間達にこの場をかりて、改めて感謝いたします。修了しても続くもの、それは思修館で出来た繋がりや仲間だと思います。2017年夏には、第一回遊聞会(同窓会)が行われ、修了生、在学生、教職員、かつての同僚、後輩等たくさんのファミリーが集いました。これからもこの繋がりを大切にし、思修館プログラムを履修したことを誇りに、一生懸命頑張りたいと思います。最後に、受験を検討している学生さんへ。受験するとなれば、リーダーを志向する強い意志と根気を持ち、自分の理想とする姿をイメージしておいていただくことが大切です。そして合格後は、精一杯思修館プログラムを頑張ってもらいたいです。プログラムを履修しただけ、そこに所属するだけで得られる能力や知識はありません。努力を惜しまず夢に向けてお互いに頑張りましょう。
 
◆◆◆
 
白石さん、お忙しいなか大変貴重なコメントをくださり、ありがとうございました。
このように在学生と修了生が交流できる機会を持てることも思修館(総合生存学館)の強みだと思います。
白石さんをはじめ、修了生や在学している先輩方それぞれのストーリーを間近に見聞して、これからの学生生活やキャリア形成の参考にさせていただきます。
 
本企画や当日の内容を詳しく知りたい方は、主催者作成の本企画ホームページをご覧ください。当日の映像もYouTubeでご覧いただけます。
(本企画ホームページ)https://leadingforum2017-student.localinfo.jp/
(YouTube)https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=4nVijpf8uvg

在学生代表 総合生存学館1回生 土田 亮

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