京都大学大学院総合生存学館(思修館)

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ニュース 京都大学-FAO共同シンポジウム「気候変動の食料と農業への影響に関する国際シンポジウム」を開催しました。

 

京都大学と国連食糧農業機関(FAO)の包括連携協定(MoU)から1周年、また京都議定書締結から20周年を記念し、京都大学-FAO共同シンポジウム「気候変動の食料と農業への影響に関する国際シンポジウム」を6月12日、国際イノベーションホールにて開催しました。
 
開会セッションでは協定の京都大学側フォーカルポイントの山敷庸亮・総合生存学館教授による会議の趣旨説明ののち、縄田栄治農学研究科長が気候変動の農業分野での取り組みの重要性と、今後の京都大学とFAOとの連携の重要性について述べました。
 
続いて、寶馨大学院総合生存学館長が、京都大学と国連との連携について解説しました。
 
そしてFAO側の挨拶として、昨年度来校されたボリコ・チャールズ(国連食糧農業機関駐日連絡事務所・所長)が、京都大学とFAOとの交流の歴史と経緯、今後の双方機関協力の進むべき方法について挨拶されました。
 
「気候変動における食糧生産と食品ロス」セッションではまず、京都市長の記念講演が行われ、京都市が酒井教授・浅利准教授ら京都大学と長年に亘る協働で、食品廃棄物をはじめとする廃棄物減量に大きな成果を出していることについて報告されるとともに、今後、京都市として、こうした成果を全国に発信していくことや国際的取組に協力していくことが述べられました。また、京都市が自然と共生し1000年以上にわたって長期間安定に存在した平和都市であること、Kyotoが、「環境に良い行動をする」という意味での「動詞」として利用されていることなどを紹介されました。
 
また、今回初めての来日となったマルセラ・ヴィジャレアル FAO対外関係・アドボカシー・能力開発局長の記念講演が行われ、FAOのフードロス削減政策の取り組みについて、FAO Food Loss Assessment(FLA)戦略、持続可能な開発目標(SDGs)12.3の内容、各国の食品廃棄物に対する取り組みと法整備の現状を紹介するとともに、日本の「もったいない」の単語の意義が世界で共有されつつあること、都市食料政策ミラノ協定について京都市の協力・京都での開催に大きな期待を抱いていることなどを述べられました。
 
その後酒井伸一教授、浅利美鈴准教授らによる、具体的な協力の内容、また京都大学でのエコ~るど京大のイベントにおける食品ロス削減の取り組みについて紹介されました。また、総合生存学館の野村亜矢香氏(D3)が市長講演の同時通訳を行うとともに、京都市でのフードバンク活動について報告を述べました。
 
その後、「地球環境変化と利用可能な水資源」セッションでは、気候変動の影響による水資源制約や作物水要求量変化に対する作付体系の変化について、トルコ・セイハン河流域の事例をトルコ・セイハン河流域の事例を梅津千恵子農学研究科・教授が紹介し、次にMRI-GCM20とSiBUC陸面モデルを利用し、かつ農事歴情報も入れた全球最高解像度水資源モデルによる水資源量や水逼迫度の評価を田中賢治・防災研究所・准教授が紹介しました。
 
次の「アジア地域における熱帯農業」セッションでは、熱帯における地域レベルの農業生産性の推定について、タイやミャンマーでの穀物モデル適用例を縄田栄治農学研究科・研究科長が紹介し、次にモンスーン気候でのダイズ生産の課題について、主に我が国の事例について白岩立彦農学研究科・教授が紹介しました。また、ボー・デイメンFAOアジア・太平洋地域事務所・自然資源専門官が、アジア太平洋地域における気候変動、農業および食料安全保障の具体的な事例やプロジェクトについて総括し、現在FAOが中心に行なっているアジア太平洋地域の具体的事例との協力関係について述べました。
 
次の「気候変動の影響による穀物収量の変化」セッションでは、植物-微生物共生系により駆動されるメタンサイクルと食糧生産について、酒造の事例などを交えながら阪井康能農学研究科・教授が紹介しました。また遺伝子組換え作物のリスクアセスメントのための花粉飛散交雑予測モデルという新しいモデル概念について、川島茂人農学研究科・教授が発表を行いました。また、改良型全球農業生態ゾーンモデル(iGAEZ)と水文ゾーンモデルHydro-iGAEZについて、山敷庸亮総合生存学館・教授が紹介し、東京農工大学との協力、ペルーでの事例などを紹介しました。最後に気候変動適応策のための作物・農業への影響評価について、MOSAIC モデルを用いたペルー・インドネシアなどの各国への適用例について金丸 秀樹FAO 気候環境部署・自然資源専門官が紹介し、FAOの気候変動アセスメントの具体的事例について詳しく解説しました。
 
すべての発表のあと、高橋美佐子・外務省経済局経済安全保障課長が、発表の内容の総括と、京都大学、FAOの今後に期待されること、現在外務省が進めているFAOへの邦人職員数の増強などについて話されました。最後に、シンポジウムを総括して舟川晋也・地球環境学堂・学堂長の閉会挨拶がありました。
 
シンポジウムのあと、京都大学総合生存学館思修館主催によるミラノ協定関連企画『ブリコラージュ・クッキング〜FEAST at our Kitchen』が、後援団体: 総合地球環境学研究所FEASTプロジェクト、保育力研究所、キッチン図鑑らとともに開催された。食品ロス削減及び、共に食べる「共食」の啓発、両者に有効である「ブリコラージュクッキング」を実践し、その重要性の発表とともに、参加者は実際に手作りの料理を楽しみました。

 

        ▼縄田 栄治 京都大学大学院農学研究科・研究科長による開会挨拶

 

寶 馨 京都大学大学院総合生存学館長・防災研究所教授による開会挨拶▲        

        ▼ボリコ・チャールズ 国連食糧農業機関駐日連絡事務所・所長による開会挨拶

 

司会進行・コーディネーターの山敷庸亮 京都大学大学院総合生存学館教授▲        

        ▼門川 大作 京都市長による特別講演『京都市における食品ロス50%削減に向けて』

 

マルセラ・ヴィラレル 国連食糧農業機関(FAO)対外関係・アドボカシー・能力開発局長による        
特別講演『FAO 食糧政策と食品ロス削減対策』▲        

        ▼高橋 美佐子 外務省経済局 経済安全保障課長による閉会挨拶

 

舟川 晋也 京都大学大学院地球環境学堂・学堂長 および 大学院農学研究科による閉会挨拶▲        

        ▼集合写真

        ▼『ブリコラージュ・クッキング〜FEAST at our Kitchen』の様子。

 

『ブリコラージュ・クッキング〜FEAST at our Kitchen』の司会進行、        
市長講演の同時通訳、京都市でのフードバンク活動について報告を述べた総合生存学館の野村亜矢香氏(D3)▲        

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