河合江理子 教授
福島で原発事故が起きたとき、河合先生はスイスにいらっしゃいました。日本が世界に正確な情報を発信できていないことを痛感し、世界で日本の国益を代表する発言力や交渉力を持って活躍する人材が日本には必要であると思い、教育に携わりたいという思いで約30年離れていた日本に戻ってこられました。
河合先生は高校卒業後に米ハーバード大学で環境学を専攻、一度日本の企業で社会人を経験なさったもののまだまだ女性の社会進出が厳しい時代、自身が心地よく仕事ができる場所を探して河合先生の旅が始まります。最初はMBA(経営学修士) を取得するためにフランスUNSEADへ。その後欧州に拠点をおいて国際機関等で活躍されてきました。
その経験を生かし、国際機関に対して多額の拠出金を負担している日本人が現場ではあまり活躍できていない現状(2009年の国連資料によると、日本が分担金負担率約11%に対し日本人国連職員は4%程度で、日本人の職員のプレゼンスは非常に低い)を変えるべく、総合生存学館で将来活躍するグローバルリーダーを育成する指導者として、プレゼンテーション、グローバルリーダーシップ・ディベート、政治・経済・金融、異文化理解といった内容で「グローバルコミュニケーション」という科目を担当してくださっています。もちろん英語での議論も重視してくださっていますが、科目内容を見てもおわかりいただける通り、決して語学力だけでも専門知識だけでもグローバルに活躍するためには通用しないというお考えで指導を進めてくださっています。
外国語の習得についても数々の経験をお持ちで、
「日本の若者達に伝えたいのは、グローバルに活躍できるスキルを身に付けることにより、活躍の場が広がり、選択肢が増え、自由度も増し、満足度の高いキャリア、人生が送れるようになるということです。」
世界中でグローバルなタレントの奪い合いになっていて、グローバル人材が欲しいという企業が増えているにもかかわらず、日本人学生たちが留学により就職のチャンスを逃すことを恐れて留学をためらっているようにみえることを残念に思われる河合先生。今現状だけで満足したり、不満のあるまま我慢して人生を送ってみたりしてほしくない、そのエネルギーを自分にあった環境を探して飛び込んでいくことに使ってほしい、という思いで、ご自身の経験を踏まえて『自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい』という本を執筆されました。
日本人は他の人の目を気にして自分の意見を口にすることを躊躇したり、一人だけ違った意見は口にできなかったりする傾向にあります。しかし河合先生から見ると日本人学生も心の底ではすばらしい意見・考えをもっている。人の数だけ違う意見があって構わないのだから自信をもってほしいとおっしゃいます。
「200%の全力で走れば満足する人生を送れる!」
せっかく個人個人違ったすばらしい能力や考えをもっているのに、その「自分」を変える必要はありません。そのエネルギーを、自分の目標に向かって失敗を恐れずチャレンジしてほしい。自分の納得できる人生をつくるのは自分自身の意志です。未来を無限大にできるのは自分自身の力です。
2010.10-2011.6日経ビジネスオンラインの連載「英語の公用語化って何?」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100831/216046/
2014.6-2014.7 日経ビジネスオンラインのインタビュー「グローバルキャリアを捨てて帰国 その真意は」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140610/266590/
2013.7 ダイヤモンド社『自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい 京大キャリア教室で教えるこれからの働き方』