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八思の芸術

このところカリキュラム紹介シリーズが続いていますので、そのユニークさをお伝えすべく、今回は総合生存学館が重視している芸術の科目についてお話ししたいと思います。
総合生存学館では、1、2年次の課題発見実践教育及びサービスラーニングにより得た問題意識及び将来の設計に基づき、3年次には学生一人一人に応じて、学術分野「八思」の総合学術基盤科目を履修します。八思は人文・哲学、経済・経営、法律・政治、理工、医薬・生命、情報・環境に芸術を加えた8分野で、様々な分野を俯瞰的に見通し、統合化できる能力などを支え、国内外のリーダーと十分に討議できる知識と提案力の基盤を育成します。
今年度の芸術科目は文化実習として、前期に茶道が、後期に華道と書道が開講されています。どの講義も京都という場所を生かした著名な先生方にお越しいただき、最初は歴史的なお話から基本的な心構えや作法までを丁寧に教えてくださり、学生たちは十分な実技も体験できます。前期の茶道では、裏千家での開講という大変貴重な機会をお与えいただきました。また茶道の講義でご指導くださった先生方のご厚意で、茶道具のお茶碗を手びねりによって作成する教室も開催していただき、さらに芸術面での奥深さを学ぶこともできました。
裏千家は千利休を祖とする三千家のひとつで、だれもがご存知の「一期一会」ということばも、そのもてなしと思いやりの心得からきたものといわれています。最終講義では、茶席で迎える側(亭主)と迎えられる側(客)がお互いの心を通い合わせることによって心地よい状態を生むという「一座建立」を体験し、日本人の心の美しさを再認識するよい機会となりました。
現在は後期に入り、華道と書道の文化実習が行われています。書道では書体の特性とその歴史的背景を学んだり、華道ではお花の植物学的な特徴に驚く場面があったり、学生たちは日頃の“講義”では決して使わない感覚や脳を働かせ、多くのことを学びとり、その中で作成する作品も個性と創造力を発揮した興味深いものができあがってきて、講義後に並ぶ作品は見事(褒め過ぎ?)です。自分の知らなかった能力に新鮮さを感じ、学生も生き生きした表情で臨んでいます。グローバルリーダーに必要な、直感やひらめき、センスなどを、そんな中で身につけていってくれていることを期待します。

芸術に包まれる環境

総合生存学館(思修館)にはもうひとつ芸術に囲まれた環境があります。それは研修施設に収蔵・展示されている美術品の数々です。思修館第一研修施設・廣志房、第二研修施設・船哲房の二棟は、(社)Art Meets Peopleさまのご協力で、京都に縁のある12名の作家さんから寄贈いただいた全18作品を収蔵しています。作品は、油彩画、陶器、染物、織物、コンテ等多種にわたり、木のあたたかみを十分に生かした建物に溶け込んだ作品に、学生たちは日常的に触れることができます。
廣志房の2階から3階への階段を突き抜けた壁に堂々と飾られた、吉水絹代先生による織物作品「水の章III」は、常に自然に身を置き自然をテーマに四季折々の限りないイメージを、ウール・アクリルで平織りに託した作品です。
船哲房の玄関には、井出照子先生による陶器作品「遙景」が飾られています。明るい玄関で光を浴びて美しい立体感とあたたかい色目が目を惹きます。また船哲房4階のラウンジには笹尾周平先生のコンテ作品を4点集結し、視覚的に刺激される個性的な作品が展示されおり、さながら美術館カフェのようです。
右脳が司る、空間認識や直感・感性、センスや創造力。困難な問題解決に直面したとき、必要なインスピレーションなどは右脳の働きによってひらめくものです。グローバルリーダーとして感覚やイメージを直感的に総合的に認識・判断する能力が重要ですが、芸術家やスポーツ選手が秀でた功績を収めるときに「何か」を感じるといわれるように、強く刺激を受けたことのある右脳が、その力を発揮することが期待できます。
心に響く芸術作品に囲まれることで、隠れた潜在的能力を引き出せる教育環境にもなればと願っています。

現在総合生存学館には二棟の合宿型研修施設がありますが、その三棟目の教育研修施設が間もなく完成し、教職員室・講義室機能も入居予定です。三期棟にも美術作品を収蔵する予定で、また機会があればご紹介したいと思っております。





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